情でつながる2006/11/05 23:53

久しぶりに山小屋でどこへも出ずに一日を過ごす。午前は授業の準備。授業での学生の感想・質問とそれに対するコメントをワープロで打ち出して毎回配布している。来週の分のコメントを今日書く。
 午前に教え子のOの夫Sが到着。奥さんの友人Yさんはミニチュアダックスとともに帰る。これで一匹と赤子一人になった。
 午後は、薪の整理。別荘地で定住しているDさんが樹を伐るという。樹を伐るのは同じく定住しているOさん。Dさんはもう八十歳をすぎたおばあさんで一人で暮らしている。Oさんはだ若い。といっても五十近いか。クラフト工房などの仕事だが、時々樹の伐採などでお金を稼いでいる。そこで、うちはDさんの家の伐採した樹を薪として買うことにした。Oさんはなかなか几帳面で、45㎝の長さに伐った樹を一本一本体重計に乗せて重さをはかり、それで値段を決めた。しめて600キロはあった。1万円ちょっとの値段。分量からすればかなり安いのは確かだ。樹もみず楢で薪にはとてもいい樹である。伐採した樹を家の道路際に運ぶ。伐採したばかりなので今年の冬には燃やせない。使うのは来年になるが、どこへしまっておくかが問題。とりあえず道路際に積んでビニールシートをかぶせておいた。
 夜、チャンイーモウ監督、高倉健主演の映画「単騎、千里を走る」を見る。「初恋の来た道」もそうだが、泣かせどころをこころえた監督だ。刑務所で、高倉健が撮ってきた息子の写真がテレビ画面に映し出される。仮面劇の役者である父親や仲間の受刑者がその写真を見ながらみんな涙を流し始める。おもわず、こちらも泣けてきた。いい映画だったが、泣かせどころが多すぎる気もした。ただ商売柄雲南省の麗江や少数民族が出てくるのでおもわず懐かしく魅入ってしまった。役者は高倉健を除いて全員素人だということだが、ガイド役がなかなか味があってよかった。それにしてもこの映画は「情」が主題である。人と人は「情」でつながりその「情」をうまくつかめば他者同士でもつながりあえる、というメッセージの明確な映画だ。
 その意味で感傷的過ぎるところがあるが、こういうオプティミズムは悪くはない。ナショナリズムのような「情」よりは数段ましだ。こういう「情」は普遍的なものだ。ただ、こういう「情」が他者同士を心地よく結びつけることはかなり困難だ。この映画のようにはいかないものだ。

     人間は情でつながる冬ぬくし

     落葉踏む音を残して靴を脱ぎ

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