チビが救い2007/07/31 01:16


 先週の座談会で敗北したので安倍首相の気持ちはわからないではない。私も調子が悪い。不幸は続くもので、今日、非常勤のE君と、テレビ制作会社の人と、文科長室で、中国の雲南での番組制作のことなど話したが、そのあと、E君と食事。ビールを飲んだのが良くなかった。疲れが溜まっているせいか、帰りの電車の中で貧血気味になり、気分が悪くなる。悪いことは重なるもので、東武東上線でまた人身事故。電車は混んで最悪。

 どうにか無事に川越までついた。奥さんに車で迎えに来てもらった。ところが、奥さんは夜慌てて車を発進したためか、隣の車のバンパーに車体をこすりつけ。うちの車のドアの部分がへこんで傷がついた。かなりの出費だろうなあ。唯一の慰めはチビである。チビは、ただ寝ているだけで、ときどきなにしてるの?って感じでこっちを見つめる。

 選挙は、予想通りだがこんなに差がつくとは思わなかった。この選挙の不幸は、本当は、安倍首相仲良しクラブの、現実を無視した空疎なネオコン的理念の敗北なのに、閣僚の失態によって敗北の原因がそっちにすり替わり、本当の敗北が隠されてしまったことだ。理想的な理念は必ず現実をゆがめる構造を持っている。そのジレンマを明確にし、どう耐えるのかその道筋を示すのが、政治や思想というものの本来のあり方だが、そういうジレンマなどを考えようともせずに、ナショナリズムという権威的な理念で威張ろうとするものたちの底の浅さをはからずも見せつけた選挙であったようにも思う。

 面白かったのは、東京都の選挙区で、自民党の現職保坂議員が、新人の丸山珠代に敗れてしまったことだ。この保坂さんは、選挙期間中丸山候補者をいかにも自分の陣営を荒らす迷惑な存在として冷たくあしらっていた。自分の事で手一杯で応援など出来ないとまで言っていた。私は、芥川龍之介の「蜘の糸」を思い出した。地獄に堕ちた男が、かつて蜘を助けたことで、蜘の糸に救われ、天国によじ登ろうとする。ところが、下から他の者も蜘の糸を登ってくる。その男は、天国に行くのは俺だけでお前等は来るな糸が切れてしまう、と叫ぶと、自分の上のことろで糸が切れ自分も地獄におちてしまうという話である。

 自民党のベテランが、同じ自民党の新人の若い女性にお前は来るな、といったようなものだ。たとえそう思っても、そう言ってはいけない。厳しいけど二人で頑張ろうくらいのことを言う度量がないことを暴露してしまった。丸山候補は選挙権がなく選挙権を行使していないという不祥事にもかかわらず当選できたのは、この保坂議員のエゴイズムに自民党員があきれたからだろう。誰だって人間の嫌な部分は見たくないものだ。

 今日で授業が終わり。基礎ゼミナールも、レポート集を配って終わった。それなりにみんな喜んでいた。学習計画を書いてこいと宿題を出したが、書式や何をどう書くのか、特に指示を出さなかったので、けっこう簡単でいい加減のが多い。これは失敗。来年は、書き直しをさせるくらいにしなくては。

何となく夕張メロンを見つめ居る