続・古本市のための読書2013/09/26 23:08

 今日は千字エッセイコンテストの表彰式があった。このコンテストも10年を迎え、一応成功したと言えそうだ。今週から授業が始まる。「環境文化論」は「鎮守の森」から入る。まあまあの出だし。「キャリアデザイン演習」も新しい必修授業。就活支援の授業である。就活支援の授業を正課に入れろという文科省の指導に沿った授業になるが、わが短大としても、一人でも就職内定者を増やさないと存続にかかわるので必死なのである。

 今度出す本のタイトルがようやく決まる。これで一安心。10月には刊行出来そうだ。考えてみれば、出版計画から刊行までかなり速かった。すでに、原稿があったということもあるが、それらの原稿を本に出そうというこちらのモチベーションが、それなりに高かったということだろう。今日の千字エッセイの表彰式で、入賞するかしないかの違いは、伝えたい事があるかどうかその差だというようなことを話したが、そのこと自分に対しても言えることだ。どれだけ伝えたい事が本に込められているか、あとは読み手の判断である。

 古本市のための読書、幾つか取り上げる。今回は外国の物語。ジェフリー・アーチャー『時のみぞ知る』(新潮文庫)上下巻。世界的流行作家の本少々馬鹿にしていたが、読み出したらさすがにやめられなかった。最後は、続編を期待させる常套の終わり方。あの『半沢直樹』と同じである。流行小説はこうやって書くのだという見本みたいな本である。★★★☆。
 アダム・ジョンソン『半島の密使』(新潮文庫)上下巻。北朝鮮を舞台にした物語とあって読んで見た。2012年のピュリッツアー賞作品ということだ。まあまあといったところ。ただ、アメリカ人が北朝鮮を舞台に、北朝鮮の人物を主人公してこのような小説が書けるのだということに感心した。物語の想像力というのはたいしたものである。★★★。
 
 スティーブン・ハンター『極大射程』上下巻。これは、アメリカ軍の退役スナイパーが陰謀に巻き込まれるが自力で敵を倒す、という冒険活劇もの。映画になっているが、その原作というので読んで見た。この映画面白かったので。ストーリーは分かっているものの、これも読み出したらやめられない。私はこの手の読み物が好きだということがよくわかった。DVDもその手の映画をよく借りてくる。★★★★。
 スティーブン・ハンター『ソフトターゲット』上下巻。これは『極大射程』の主人公の息子の物語。やっぱりアメリカ軍でスナイパーだ。アメリカの巨大ショッピングモールがテロリストに襲撃され、そのモールにたまたまいた主人公が反撃していくというストーリー。映画のダイハードの設定である。ケニアで同じような事件があったばかりだ。作家とテロリストの考えることは同じだ。ただ、現実には、テロリストに反撃するヒーローなどいないが。★★★。

 J・T・ブラウン『神の起源』上下巻。南極から4万年前の超高性素材を着た遺体が発見されたところから物語が始まる。SFである。この手のSFは嫌いではない。有名なSF『星を継ぐもの』と良く似た設定だ。いわゆる、地球上の不思議な遺跡を宇宙人と結びつけるパターンで、まあまあといったところ。★★★。
 フィリップ・カッター『骨の祭壇』上下巻。覆面作家のスパイアクション小説。いわゆるジェットコースター映画と同じ展開。確かに最後まで一気に読めるが、読後はただ疲れたというだけ。まあツタヤから映画を借りてきて時間つぶしに観るのと同じようなものだが、とりあえず古本市には出せる。★★★☆。

 コニー・ウィルス『航路』上下巻。上下巻ともかなり分厚い本。一冊1180円。この値段もう文庫じゃない。何で読んだかというと、臨死体験がテーマになっているからだ。臨死体験をした被験者の心理を研究している研究者が主人公。人為的に臨死体験と同じ脳の働きを再現出来る装置があり、研究者は、被験者として自分も試すことになる。そこから、物語が展開するという設定。とにかく長い。テーマと展開は悪くない。ただ長い。この長さ何とかならないものかと思いながら、多少読み飛ばしながら最後まで読んだ。最後はうーんという展開だが、感動したという評もある。★★★☆。
 D・ヘインズ『クラッシャーズ』上下巻。これもジェットコースター的活劇小説。飛行機が何者の手によって墜落し、それを調査する調査班と犯人との攻防という展開。これはほとんど映画にすることを最初から計算した小説。ありえねえと思いつつ、読んでしまう。★★★☆。

 以上、よく読んだ。この読書の時間、専門書の読書に使えたらもっと良い本が書けるのに、と何度思ったことか。まあ、これは良い本が書けないいいわけなのだが。

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