教員を目指しますか?2006/11/22 08:53

 今日(21日)は朝10時半から夕方6時まで会議の連続。いつもながらだが、今日実は、非常勤講師労働組合との団交というものを経験した。むろん私は経営側。まさか経営側に坐るとは思っていなかった(ちなみに数年前私は労働組合の副委員長でした)。これも仕事だ。組合に入ってたときは組合も仕事だと真面目にやった。経営側にいるから真面目にやらないというわけにはいかない。これが社会というものだ。どっちに坐ろうと、私の属す側のためを考えて行動する。そこに権力側だとか反権力だとか変なイデオロギーは介在させない。別に政治活動をやっているわけではない。労働側も、学校側も、それなりにこの厳しい社会を乗り切るのに必死なのだ。イデオロギーで乗り切れるわけではない。

 かつて某予備校にいたときに、講師たちが組合を作った。私は反対した。少なくとも私を含めて本当に生活のために予備校講師をやっているような連中にはとても思えなかったからだ。私の知る範囲の講師は普通に働くのが嫌で講師をしている者ばかりで、しかも、プロ野球選手のような個人営業主だから、所謂労働組合には相応しくないと考えたからだ。むしろ、過酷な労働を強いられている予備校の職員が組合を作るべきで、それをさしおいて、けっこういい給料をもらっている講師が組合を作るのはなんだかおかしいと考えたのだ。

 非常勤講師が安い給料で働いている現状は私も非常勤歴が長いから理解できる。雇用も安定しているわけではない。何とか解決できればいいなと思う。その意味で労働組合に入ることも理解できる。が、個別の事情になると問題は複雑になる。非常勤講師をなるべく安定して雇用したいという大学側の思いが、改組やカリキュラム変更等でだめになる場合がある。今、何処の大学でも起きている問題だ。少子化で大学も生き残りをかけてカリキュラムを変更し、無駄な科目を省こうとしている。そのとき、真っ先に割を食うのは非常勤講師だ。

 解決策は、結局、全国の大学の教員を任期制にして、雇用を流動化する以外にはない。専任と非常勤の雇用形態を近づけていくしか根本的な解決はないのだ。最近、東大から大学院生を非常勤として採用してほしいという手紙が来た。ところが、何処の大学でも、教員歴のない教員は採用しない傾向にある。矛盾しているのだ。まして、労働組合などが出来ると、大学側は専任校を持っている教員を非常勤に雇おうとする。非常勤だけで喰っている者の雇用はますます遠のいていく。厳しいがこれが現状である。とにかく今日本の大学全体が斜陽産業なのである。かつての銀行と同じで、かなりの大学が潰れ、合併・吸収が盛んになり、リストラもあるだろう。専任だからといって安泰ではない。

 これから教員になりたいという人に言っておくが、昔の大学の先生のイメージで考えたら大間違いです。一日でも休んだら補講をしなきゃならない。雑務は多い。研究だって科研で外部から研究費をとってこなきゃ肩身が狭くなる。授業だって、予備校並みにアンケートとられて、順位をつけられる。給与だって、かつてほど高いわけじゃない。休みだって、昔のように長くはないし、研究をまともにやれば休みなんてないも同じだ。そして、何よりも職がない。
これでも大学の教員目指しますか?

    教員も口角沫とばす小六月

    浅漬の塩の強さに冬めきて