「陰日向に咲く」を読む2007/10/25 01:01

 劇団ひとりの小説『陰日向に咲く』を読む。なんでこの本がベストセラーになるのかよくわからなかった。物語性やリアリティにやはり甘さがある。ただ、さすがに一人芝居の芸だけあって、シチュエーションの作り方は面白かった。何人かのいろんなエピソードをつなぎ合わせた小説だが、それぞれが何処かでつながりを持つという設定。こういうのどこかで聞いたことがある。確か映画の「バベル」も同じじゃなかったかな。

 それぞれが情けない主人公ばかりで、今の時代を上手く生きていけない「情けなさ」を抱えた人間はそこそこ描いていると思う。最近のお笑い芸人が本を出して売れている一つの共通項がこの「情けなさ」だろう。彼等は落語家や漫才師のように芸を磨いて笑わせるというよりは、低い位置から見上げるときの、コンプレックスや鬱屈をバネに、お笑いネタを作っている気がする。

 フリーターもニートも、いや、下層社会や格差社会の下の方もみな「情けない」のだ。今のお笑い芸人は、その層のなかにあって、その層の中で誰もが抱えている「情けなさ」の表現者なのだ。そんなの関係ねえと海水パンツ一枚で芸をする小島よしおもそうだろう。こういう笑いは基本は自虐とそこからの跳躍。飛べばキレ芸まで行く。芸人の本も、また、「情けなさ」の物語である。その意味で売れるのもわかる気がする。こういうお笑い芸は、何時の世でも、「情けなさ」を抱えた大衆の共感構造に支えられている。

 図書費が出るというので、今日は東方書店に行って中国の少数民族文化関係2万円ほど本を買った。後期の推薦図書も何点か揃えた。わが文科の読書室もだんだんと充実してくると思う。

 帰ったのが9時近く。水曜はBSフジで8時から「朱蒙」をやっている。録画しておいて帰ってから見る。どうもこのドラマにはまってしまった。

           真っ直ぐに立てぬ大樹の蔦紅葉

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