久しぶりに映画鑑賞2008/09/18 23:26

 明日、明後日は、会議にオープンキャンパス。台風が心配である。とくに土曜はオープンキャンパスで、AO入試の面接とか模擬授業とかいろいろあるので、何とか台風には避けて欲しいところだが、どうも関東に一番近づくみたいだ。

 昨日は大学基準協会の第三者評価の説明会。大塚駅近くホテルが会場。全国の短大から関係者が出席。来年私どもの短大では第三者評価を受けることになっているのだが、同じく来年第三者評価を受ける多くの大学の担当者に向けた、評価のマニュアルとか決まり事の説明である。私は責任者なので気が重い。もし、この評価で不適格と評価されたら大変なことになる。いままでそういう大学や短大はないということだが。

 全国からたくさんの短大の担当者が来ていた。あと数年のうちにこの会場にいる人たちの何割かは職を失うことになると、最近しきりに言われている。短大は7割近くが定員割れだから、潰れるところが必ず出てくるという予測である。

 おそらく、どこの大学でも立派な自己評価の報告書を書き、立派な第三者評価をもらうのだろうが、それと関係なく潰れるところは潰れるのである。競争原理は厳しいのだ。

 今日は三浦しをんのエッセイを二冊読了。『シュミじゃないんだ』と『あやつられ文楽鑑賞』である。ボーイズラブ漫画のうんちくと、文楽にはまってしまった作者の文楽解説書である。どちらも面白いのだが、私の好みから言えばやっぱり文楽だな。さすがに、BLはね。その系統の漫画はけっこう読んでいるけど、特に惹かれると思ったことはない。

 文楽のとくに芝居の解説はなかなかのものである。特に芝居の登場人物の心の動きや、作者が何を描きたかったのかという部分へのこだわりは、さすが物語で人間を描いている作家の鋭い読みがあって、けっこう納得した。文楽は昔ちょつとばかり興味があって、国立劇場に行ったり近松門左衛門をけっこう読んだりしていたが、そのことがけっこう蘇ってきた。この本のお蔭でまた観に行こうかなという気になった。文楽の入門書としても優れていると思う。

 日曜に、近くにツタヤがあることがわかって、そこへ行って会員になり、DVDを借りてきた。借りてきたのは『ONCEダブリンの街角で』と『ノーカントリー』である。ようやく今日見終わる。前者はアイルランドのダブリンが舞台。ストリートミュージシャンの主人公が自分の歌を売り込むためにロンドンに旅立つという話だが、そこにチェコから来た女性との出会いと別れが織り込まれる。俳優は主人公もチェコ人の女性もミュージシャン。ミニシアター向きの小品。全編歌と音楽の映画っていう感じで、さすがアイルランド、と納得の暗さがあるが、歌もなかなかよくけっこう面白かった。

 一方、『ノーカントリー』はコーエン兄弟の映画。アカデミー賞を4部門とった映画だ。全編ほとんど音楽なし。不気味な殺し屋の人を殺す場面がただ映し出されるだけの何とも不思議な映画だ。アメリカの虚無を描いたとどっかの映画評にあったが、そんな感じ。この殺し屋の面白さは、とても哲学的だというところか。彼は不条理そのものだが、その不条理は、社会の病理が生んだとか、突然キレるとか、そういうのではなく、何ともただ暗い穴のようにただそこにあるだけの不条理さである。

 この映画の終わり方もよくわからない。物語が完結しないで終わるという印象である。年老いた保安官が見た夢の話で終わる。この映画自体が精神分析の対象になりそうだ。この映画にアカデミー賞をあげたアメリカ人は、自分の心の中の虚無を重ねたに違いない。

 ちなみに殺し屋を演じたアカデミー男優賞をもらったバビエル・バルデムは、「海を飛ぶ夢」を演じた俳優だそうな。何処かで見たことあると思ってた。

                     化粧する小暗き道や萩の散る

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