何とか夏休み2007/08/06 00:50

 オープンキャンパスの二日目。来訪者は昨日ほどではないが、まあまあというところか。今日は模擬授業も行った。毎年テーマは同じで「千と千尋の神隠しの文化論」である。もう4・5年やっている。そろそろ「千と千尋」も色あせたかな、と思うが、けっこう受けがいいし、受験生も集まるのでつい毎年やってしまう。

 今日の感想でこの映画を見たのは小学6年生の時と書いてあって、そうかもうそんなに昔の映画になったのだと、時の経つ速さを実感した。教室には40人近くはいっただろうか。この映画に、神話や昔話の構造、民俗学がどのように取り入れられているかを解説していくもので、授業の初めにどのくらいこの映画を観ているか聞くが、ほぼ9割の人は観ている。だから、授業が成り立つというわけだ。

 パワーポイントとビデオ映像を駆使した、最新の授業スタイルにして、飽きないようにしている。実は映像をパワーポイントに取り込みたいのだが、DVDやビデオはプロテクトがかかっていて、それが出来ない。テレビで放映されたものを使えばいいのだが、あいにく録画していない。このプロテクトというのは、確かに著作権の問題もあろうが、教材という観点からだとやっかいである。

 朝の通勤電車の中で、確か東上線の和光市をすぎたころだろうか、和光市駅から乗ってきた三人の若者が、座席に座っている私の前に立っていろいろ話をしている。頭は坊主であったり角刈りのような感じで、ガテン系の若者かなとおもったが、そのうち政治のことをしゃべり出した。

 一番右側の背の低い男は後輩らしく、真ん中の一番背の高い男が中心で話題をリードしている。そこでこの間の選挙の話になったが、一番右の若者が「えーっ、自民党は負けたんすかぁ」と驚いた声を発した。おいおいと思わず笑いそうになったが、真ん中の若者は、憲法改正へと話がすすむ。選挙で負けて、憲法改正がだめんなると俺たちの立場もビミョーなんだよなあ、と言う。君たちはいったい誰?とつい聞き耳を立ててしまった。

 どうやら自衛隊の若者らしい。そうか朝霞の基地がある。真ん中の若者は今度は、公務員法の改正に話が飛び、徹底した官僚批判にはいる。あいつらは腐っている、と何度も言う。そんな調子で自衛隊員の政治や官僚批判を聞きながら電車は池袋についた。今時こういう若者がまだいたんだと感心はした。ただ自衛隊員というところがちょっと、と言う気はしたが、考えてみれば、政治の流れによって一番影響を受けるのは彼らである。政治に関心を持つのは当然と言えば当然だ。もっとも選挙の結果も知らない自衛隊員もいたが。

 オープンキャンパスが終わって、山小屋に向かう。ようやく夏休み、というよりは、夏の仕事だ。しばらくは、論のアイデアを見つけるための格闘が続く。
 
      中上のモノガタリに咲く鳳仙花