三浦しをんを読む2007/10/13 23:16

 今日は学園祭とオープンキャンパス。それに、AO入試の面接と朝から忙しい一日であった。明日も同じだ。論文を書き出さなくてはいけないのだが、帰るとさすがに疲れ果てて、頭が論文モードにならない。

 行きの電車の中で三浦しをん『秘密の花園』を読了。三浦しをんは、三浦佑之さんのお嬢さんで、最初のデビュー小説『格闘家に○』は送っていただいて読んだが、その後は読んでなかった。それにしても、デビューからこんなにたくさん本を出して、売れっ子作家になるとは思わなかった。

  まず文章が抜群にうまくなった。最初はエッセーの乗りで書いていたが、『秘密の花園』は小説の文体になっている。作家としての才能を感じるのは、何よりも生理的とも言えるような女の子の心の痛みが描かれているところだろう。この小説は、女子高生三人の、病的とも言える不安や苛立ちを描いているが、こういう暗さを、言葉でくっきりと浮かび出そうとする意欲に溢れていて、なかなか読ませる小説であった。

 こういう痛みは作家の心の描写でもあるはずで、そうか三浦さんのお嬢さんは、こんなネガティブな人間(自分)の内面をえぐり出すほどの小説家になってしまったのだな、と変に感心してしまった。

 ただ、これを推薦図書にするかどうかは微妙なところだ。こういうのを読ませたら、どういう反応を示すだろうか。おそらくは、今の自分の心の訳のわからない部分を、心地よくない形で見せつけられている気分だろうとは思う。物語のリアリティに引き込まれる前に、ちょっとと引いてしまうかも知れない。こういうのもあっていいとは思うが、他にもっと良いのもあるかも知れない。もう少し三浦しをんを読んでみようと思う。

         鳥威逃げぬ雀を見習いぬ