韓流ファンタジー2020/07/23 17:31

「トッケビ」(2016)はファンタジーだが、最近の韓流ドラマはファンタジー要素がかなり多くなってきた。これは、さすがに韓流ドラマの王道である、あり得ない設定のドラマ(定番である、出生の秘密・記憶喪失・ありえない偶然等が散りばめられたドラマ)のネタが尽きてきて、SFや ファンタジーに活路を求めているからだろう。韓流ドラマは韓国の重要な輸出産業だからネタが尽きれば韓国経済への打撃になる。作り手も必死だ。

 そのようなファンタジー路線の傑作が「トッケビ」である。とにかく物語の構成がいい。高麗時代から死ねずにトッケビ(鬼)となって生きる将軍(コン・ユ)。彼に刺さった剣を抜いて死なせる運命の花嫁を探して生き永らえている。その花嫁として登場するのが女子高生(キム・ゴウン)で、二人は愛し合うが彼を死なせるのが少女の役割という悲劇の設定がよくできている。もう一つの、トッケビと同居する死神のロマンスもなかなかいい。トッケビと死神の会話が上質な漫才のようで面白い。幽霊の見える女子高生役のキム・ゴウンは最初はいかにも不幸を背負った陰気な雰囲気だが、次第に切ないほどにかわいらしくなる。この変化はキム・ゴウンでないと出せないだろう。

 他にファンタジーとしておすすめの作品は「星から来たあなた」(2014)である。これはラブコメであるがこのドラマはストーリーよりも、自由奔放なトッップ女優を演じるチョン・ジヒョンの名演技に尽きる。チョン・ジヒョンは映画「猟奇的な彼女」で有名になった女優。「青い海の伝説」にも人魚の役を演じているが、面白さは「星から来たあなた」のほうが上だ。宇宙人(キム・スヒョン)とトップ女優のラブロマンスだが、けっこう笑えて時間を忘れさせてくれる。ちなみに「太陽を抱く月」でブレイクした宇宙人役のキム・スヒョンもいい。キム・スヒョンは「クリスマスに雪は降るの?」(2009)「ジャイアント」(2010)に少年の役で出てくるが、この子役のキム・スヒョンが切なくてとてもいい。韓流ドラマが女性の心をわしづかみにしているのは彼のようなイケメン俳優をたくさん揃えているからだろう。たいていのドラマに必ず脇役にイケメンの俳優を出してくる。これも女性向けの戦略か。ちなみにうちの奥さんもその戦略に惑わされている。「星から来たあなた」でも、トップ女優の高校生の弟役で出てくるアン・ジエヒョンもまたイケメンである。

 もう一つ面白かったファンタジーは「W-君と僕の世界」(2016)である。漫画の世界と現実世界がシンクロして、両者の世界の男女が恋愛にまで発展するというファンタジー。韓流はこういう荒唐無稽な物語の作り方がほんとうに上手だ。ヒロインはハン・ヒョジュ。「トンイ」の女優である。私のお気に入りの女優の一人。ヒーローはイ・ジョンソク。ヒョンビンの「シークレットガーデン」(2010)では、イケメン脇役で出ていた。「ドクター異邦人」(2014)が代表作だろう。

 他にもいろいろあるがとりあえず印象に残っている作品を挙げた。次回はタイムスリップものについて取り上げる。

     只独座只只独座だ雨安吾

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://okanokabe.asablo.jp/blog/2020/07/23/9271025/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。