松岡正剛の日本論2009/06/12 00:42

 今日も会議で疲労困憊。3時半から教授会、ほとんど私の報告事項だけで、一時間しゃべりっぱなしでさすがに声が涸れた。その後7時まで教養教育の会議。長い会議であった。

 帰って食事して、半分眠りながら借りてきた韓流時代劇テジョヨンを観て(最近テジョヨンにはまってます)、それからしばらく仕事して寝る、というのがいつものパターンだが、ここんとこさすがに夜中にそれほどの仕事が出来なくなった。それだけ疲れているということだろう。

 こういう時はなかなか重たい本は読めないのだが、軽めの本は読んでいる。松岡正剛の『方法日本Ⅰ 神仏たちの秘密日本の面影の源流を解く』(春秋社)を読了。松岡氏の話を聞く連塾という講演会での講義録である。松岡氏の本は、知識がチャート図のように並べられていて、あまり考えずに読めるのがいい。時々面白い知識を発見することがあるし、その知的好奇心の傾向は私と似ているところがあるので、親近感もわく。

 帯に「衝撃の日本論」とあるが、それは言い過ぎだろう。勉強になるのは、古代から現代まで、宗教、思想、科学、美術、哲学というあらゆるジャンルから、日本文化を語るキーワードを取り出してきて、それを繋げながら日本文化の見取り図を作っていくところだ。とにかく、見取り図をつくるのがうまい。さすがに編集工学研究所所長だけある。どんな異ジャンルもキーワードを繋げた知の見取り図の中で関連づけられ、それを読むこちらが何か世界が上手く見えた気になってしまう。

 結局、松岡正剛が言っていることは、日本というのは“あいだ”の文化なのだということのようだ。あいだとは、異質なものが反発せずに混じり合う猶予の場所である。凹凸ではなく、凹と凸とが混じり合ってバランスをとる、ということだ。凹という価値にも凸という価値にもなびかず、常に漂うという意味でそれはまた「うつろい」でもある。こういった切り口であらゆるものをチャート図の中に描き混んでしまう快感、その快感を堪能出来る、というのがこの本を進めるとしたらその理由ということになろうか。

 さてそのチャート図の中にJポップがでてくるのだが、サザンの歌の「愛の言霊」の歌詞が紹介されている。

   生まれく抒情詩(せりふ)とは 蒼き星の挿話
   夏の旋律(しらべ)とは 愛の言霊(ことだま)
   宴はヤーレンソーラン
   呑めどWhat Cha Cha
   焔魔堂は 闇や 宵や宵や
   新盆にゃ丸い丸い月も酔っちゃって
   由比ケ浜 鍵屋 たまや
   童っぱラッパ 忘れ得ぬ父よ母よ
   浮き世の寂しさよ
   童っぱラッパ 名も無い花のために
   カゴメやカゴメ 時間よ止まれ
   エンヤコーラ!

 和風と英語風の言葉との混淆が見事。これぞ「言霊」と松岡は誉めている。この歌を知らなかった私はこりゃあ面白いと感心した次第である。ちなみに椎名林檎の歌も取り上げている。椎名林檎の歌詞の面白さについては私もよく知っている。
 
                  梅雨に入り言霊なども湿りけり

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