三浦しをんつながり2008/09/15 11:28

 仕事部屋の直下の公園では恒例の草刈りで朝から草刈機の音を響かせている。うるさいことはうるさいのだが、仕方がない。それにしても夏場の草が生い茂る頃はこの草刈をこまめにやる。おかげで、草の丈がいつもちょうどよい伸び具合なので、チビの散歩には具合がいい。草が伸びすぎると、小さいチビは見えなくなってしまうからだ。ゲートボールをやるのにも草が伸びていては具合が悪いので早めに刈るのだろう。

 マンションの庭の大きな桜の樹も少し黄色い葉が増えて落ち始めている。ちょっと早いんじゃないかと思うが、こんなものなのか。

 ここんとこ三浦しをんの本を一日一冊のペースで読んでいるのだが、少し疲れてきてペースダウン。『月魚』『白蛇島』『ロマンス小説の七日間』『まほろ駅前多田便利軒』『むかしのはなし』と読んできて、今『仏果を得ず』とエッセイ『シュミじゃないんだ』を読んでいる。

 作家と対談するなんてことがなきゃこんなに一人の作家を集中的に読むことはないんだが、でも、けっこう面白いので読んでいて苦にならない。というか次が読みたくなるのはやはりそれだけ面白いということだと思う。エッセイは面白いと言われているが、私も、最初の小説『格闘するものに○』を読んだときこれはエッセイ書かせたら抜群に面白いだろうなあと感想を持ったことを記憶している。

 『シュミじゃないんだ』はボーイズラブ系の漫画へのうんちくとその魅力についてのエッセイだが、とにかくそのしゃべり口の文体は、思わず爆笑してしまうほど面白くこれは立派な芸である。

 松江の遠野物語研究会であった臨床心理士のIさん(『思春期をめぐる冒険-心理療法と村上春樹』という本を新潮文庫から出してます。おすすめです。)は三浦しをんファンで、ボーイズラブについて興味があって三浦しをんの本はかかさず読んでいるという。最近のおすすめはよしながふみとの対談でこれは必読だそうである。

 ちなみによしながふみの『西洋骨董洋菓子店』はうちに前からあった本で、これは奥さんのおすすめの本である。ついでにいうと、私のいる別荘地によしながふみが来ているらしいという話を聞いた。家族の別荘があるらしく、その家族と共通の知りあいもいる。縁とはつながっていくものである。

 三浦しをんの小説の魅力は、作者がどんなシチュエーションのどんなタイプの主人公にも、憑依するごとく同化して、その人間の抱えた情けなさや暗さをうまく引き出すところにある。つまり、人間の持つ情けなさや悲しさに共感する力を多く持っているということで、だから、どんな人間も描けるのである。ストーリーテラーのうまさはあるが、最近の若手の本屋大賞常連の小説のように、ただ筋立ての巧みさだけで小説を描いていない。そこがいいところで、私が何冊読んでも飽きない理由だ。    

 明日からは、ほぼ毎日出校で、目が回るほど忙しくなるだろう。三浦しをんを読んでおくなら今のうちなのである。 

                樹々たちようつろふさだめ葉は落ちる