労を惜しんではならない2007/05/25 02:07

 人がたくさん集まっているせいか、いろんなことがある。私の職場は、少なくとも私が責任を負わなくてはならない人数は、学生が420名、教員14名である。これだけの人間が、それぞれの個性と、それぞれの生活と、そして相互の様々な人間関係、それこそ好き嫌い、理想と現実、といった要素を織り込んで、狭い空間の中で生きているのであるから、何かが起こらない方が不思議である。

 毎日のように、いろんな出来事の報告が私のところに集まり、その都度対策をこうじる。この場合大事なことは先延ばしにしないこと。むろん、問題の解決を急がないという事も必要だが、その場合、冷静に打つ手を打って先延ばしにしないと結局後で大変な目に遭う。

 こういうとき労を惜しんだらあとで必ず倍返しにやっかいな事態を負うことになる。経験的に、トラブルは起こったときが一番深刻な表情を見せるが、しばらくするとたいしたことがないということがほとんどである。当事者がみんな冷静になるからである。だから、その一番深刻な当初に逃げてしまうと、その深刻な事態をずっと引きずってしまうことになる。むしろ、当初の事態を冷静に受け止めて逃げずに対処すれば、案外にそれほどでも無かったということが多いのである。

 といっても、なかなか、労を惜しまずというのは難しい。ストレス耐性がよほどでないとつとまらない。私のストレス耐性がどの程度なのかわからないが、弱くないことは確かだ。弱かったら、とっくに不登校になっている。

 図書委員の学生に学生達に読ませる推薦図書を選ばせたら、ミステリー系統が多かった。純文学とは言わないが、やはり教育の場だし、ミステリー系はちょっと。それでもいくつかの候補図書を知らないとまずいので、忙しい中読んでいる。いしいしんじ「ぶらんこ乗り」と伊坂幸太郎「重力ピエロ」を昨日、今日で読んだ。こういうのをみんな読んでいるんだと思いながら。恥ずかしながら二人とも名前も知らなかった。いしいしんじはいいが、伊坂幸太郎は、ミステリー系で微妙なところだ。

    若葉ひしめきて枝嬌声に揺れる

座敷わらし2007/05/25 19:42

 昨夜は明日の奈良での会議や明後日の万葉の講演の準備などで寝るのが遅くなった。今朝の血圧は高めだった、やはり身体はストレスに強くはないようだ。

 今日は、高校教員対象の説明会で出校。高校の進学指導担当の先生方を招いて、いろいろ説明をしたり校内を案内するというもの。出校の途中、学生の選んだ本のいくつかを購入。その内の一冊、三浦哲郎「ユタと不思議な仲間たち」を読む。

 座敷わらしの話で、宮沢賢治の童話をたぶんモティーフにしたような話である。田舎に引っ越した東京の子どもが、9人の座敷わらしと遭遇し、たくましく成長するというお話。ユタは、キリストを裏切る弟子の名前のことらしく、座敷わらしはみなキリストの12人の使徒の名前をかたっている。

 彼らは飢饉などで間引きにあって親に殺された子どもの霊ということになっている。座敷ワラシについて「遠野物語」の演習で学生に調べてさせたり、教えているものとして、この間引きされた子どもの霊説は、ちょっと安易過ぎるし、もう少し勉強してもらいたいとおもうところはあるが、まあ、フィクションだし、子どもにいろいろ考えさせたいという意図は分からないではない。いずれにしろ、こういう児童文学は推薦図書としては悪くはない。

 学生が推薦した本の中にに河本準一の「一人二役」というのがあった。新人の面白い小説なのだろうと思って三省堂書店で捜したが、作家別コーナーにはこの作家の本はない。誰なのだろうととインターネットで捜したら、何のことはない、お笑いの課長次長じゃないか。そういえば自伝書いたと言っていたな。見つからないわけだ。作家じゃないもの。

 さて推薦図書としてはちょっと無理かな。とりあえずそれなりの社会的評価を受けた作家か作品であることという条件を付けようと思っているので、なかなか難しい。一応教育の場で、みんなに読んでもらいたい本ということになるとね。推薦されたのだからきっといい本なのだろう。とりあえず読んでみようと思う。

    夏めきて座敷わらしは汗ぬぐう