縄文蛙2006/10/29 23:39

昨日の「縄文/文様」シンポジウム(アジア民族文化学会の秋の大会)はなかなか盛況だった。予想以上に人が集まり、机や椅子が足らなくなったほどだ。
 28日の信濃毎日新聞に紹介記事が出た。また今日の長野日報に写真入りでシンポジウムの記事が出ていた。挨拶でスピーチしているわたしの写真も載っていた。
 時間が足りなく、井戸尻考古館の人たちの発表が中心で、こちら側のコメントの短かったのが残念だったが、まあ、「縄文/文様」の解読というテーマはそれなりに面白く伝わったのではないか。
 小林公明さんの発表は、なかなか資料も豊富で面白かった。縄文土器の文様に象徴的に描かれるカエルや眼などの図/文様は、月の出ない新月の空白期を表す、つまり想像力でもってその空白期を生命力で満たそうとしている、そういう図/文様であるという説に、説得力を感じた。
 証明なんか出来やしない、とどこか居直りながら、縄文人の精神世界を再現することに情熱を燃やす彼等の論に圧倒され、こういうのものありかなと思ったのは確かである。
 文様という一種の言語から精神性を解読する試みは、まだ共有されるような文法や文体を持っていない。それだけに、危うさもあるが、魅力もある。その魅力だけは伝わったシンポジウムだった。
 昨日は、富士見高原にある八峰苑で懇親会、温泉に浸かり、一泊。今日、茅野さんの案内で諏訪上社周囲の遺跡巡りをした。なかなかよかった。帰りは関越が渋滞。2時半には茅野を出て、佐久インター経由で来たが、家に着いたのは7時頃になった。

    秋の陽に縄文蛙も薄目開け