水澄む日本2006/10/30 23:33

 「縄文/文様」のシンポジウムのまとめは大山誠一氏であった。このシンポジウムの仕掛け人である。彼が井戸尻の文様に魅せられたところからこの企画がスタートした。時間がなく短いコメントだったが、日本がアジアと違うのは、結局水だ、というのである。今から4・5千年前に対馬海峡に暖流が流れ込んだことで、雨に恵まれる気候となり、冬には雪が降り、日本には豊富な水資源が生まれることになった。さらに、その水は、濁る前に海に流れてしまう。つまり、水澄む日本が縄文時代に成立した。それが、古代国家成立の時に「清き明き」といったイデオロギーの成立につながる、というのである。
 この水という自然条件が、縄文の精神性にやはり大きな影響を与えている、というのが大山氏の考えのようだ。
 確かに縄文農耕を支えたのもこの水だろう。世界に例のない水に恵まれた風土で、日本人は、過酷な自然に直面しないですんでいるとも言える。
 その水が日本の歴史にどうつながっていくのか展開を期待したのだが、時間切れであった。

    蛙居ぬ水澄む日本何処へ行く

    子は縊死す水澄む日本悩みたり