「ムーミン」に決まる2014/11/06 00:08

 11月はさすがに忙しい。もう疲労困憊です。昨日は、一日会議づけで、短いの長いの混ぜ合わせて7つの会議があった。新記録である。通常の会議、打ち合わせ、臨時の会議。特に、最近、文科省が補助金を均等分配でなく、教育の向上に努力している大学に重点的に配布する方針に転換し、その基準を細かく決めてあろうことかそれらの基準項目をクリアしたら何点与えるというポイント制にした。そのポイントをある一定以上取らないと補助金が減らされる、という仕組みである。

 従って、ポイントの項目毎に組織を作りポイントをもらえる体制作りをいま全国の大学で行っている。文科省のホームページには、ポイントを貯めて合格した大学と落ちた大学の一覧が出ている。全国の大学がポイント獲得のために競争するとはまったくすごい世の中になったものである。おかげで会議が一挙に増えてしまった。

 今週はアジア民族文化学会の秋の大会の準備で大変である。12月13日(土)上智大学で行われる。案内状ややポスター作製を行っているところだが、実はもう配布していないとだめな時期である。いろいろと遅れてしまいあせっている。案内状は何とか今日作製したが、ポスターは来週になる。

 今度の学会では、中国雲南省の奥地からダパ(モソ人の宗教者)を呼んで、「病い祓い儀礼」を実演してもらう予定だ。めったに見られない儀礼だから必見である。ただ、宗教者は農民で、パスポートやビザを取るのに手間取っている。農民にはなかなかビザは出してくれないという。学会の招請状があるので問題はないと思うが、心配ではある。同時にシンポジウムを行いS君に「いざなぎ流」での「病い祓い」の解説もしてもらう。これも見物である。

 来年度に「総合表現ワークショップ」という授業を新設した。学生に演劇を実際に講演してもらう授業である。明治大学ではシェイクスピアプロジェクトというのがあって成功を収めている。これに倣ったものだが、演目をどうしようかといろいろ考え、けっきょく「ムーミン」になった。「銀河鉄道の夜」の案もあったが、これはあちこちで演じられているということで、まだ演劇にはなっていない(たぶん)「ムーミン」にしようということになったというわけだ。私は、ムーミン谷の童話を五冊ほど読んだが、結構面白い。確かに演劇向きであると思う。

 このムーミン谷の妖精や動物たちは、危機的状況のなかでも、あまり深く落ち込まずに内向的にもならず、アイデンティティをさがすこともなく、洪水で家がながされてもどこか楽しげである。その意味でいえばこの童話から教訓というものを見つけにくい。何が面白いのか。たぶん、地球の危機が迫ろうとも、あまり過去や未来にとらわれないということなのかも知れない。世界の危機は救えなくても、ムーミン谷の危機は何となく救える。そこがいいのだ。世界の危機が救えないといって落ち込んでしまうものがいない。自分たちの力の及ばない領域の危機に反応してもどうしようもないことを本能的に知っている、ということだろう。それなら、力の及ぶところでみんなで危機を乗り切るだけだ、なるべく賑やかに、というのがムーミン谷のポリシーのようだ。そう考えればけっこう教訓はある。

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