今年もまた古本市のための読書2014/09/19 13:58

 中国から帰って二週間経ってようやく体調が元に戻った。気管支炎と腰痛で一時はかなり辛かった。やはり休養が一番ということだが、直るのに二週間は歳だなと思う。それから、仕事が始まる頃には治る。これも仕事人間の悲しいところだ。

 が、寝ていたばかりではない。短歌の評論集を出版するためにこの間原稿を整理していた。順調にいけば今年中には出版出来そうだ。それから、紀要の論文も書いたが、こちらは、前期に学会のシンポジウムで発表した内容に手をいれただけなので、それほど時間はかかっていない。一番時間を取られたのは、古本市のための読書である。

 今年の学園祭でも、私の学科の読書室では古本市をやる。そこに出品する売れそうな新刊書を読み、古本にしていくという作業をこの時期二年続けてやっているのだが、今年もその時期になったということである。新刊書を買ってきてそのまま出品したのでは古本にならない。読めば古本になる。そこで、売れそうなエンターテインメント系の本を片っ端から買って古本にしていく。一日一冊が目標である。が、仕事もあるので、一日一冊はなかなか難しい。

 それでも、九月に入って以下の本を古本にした。
池井戸潤『銀翼のイカロス』ダイヤモンド社
東野圭吾『パラドックス13』講談社文庫
東野圭吾『マスカレードホテル』集英社文庫
東野圭吾『マスカレードドライブ』集英社文庫
有川浩『空の中』角川文庫
原田マハ『風のマジム』講談社文庫
朝井リョウ『星やどりの声』角川文庫
神永学『革命のリベリオン』新潮文庫
沼田まほかる『ユリゴコロ』双葉文庫
碧野圭『書店ガール1』PHP学芸文庫
碧野圭『書店ガール2』PHP学芸文庫
S・ハンター『蘇るスナイパー上』扶桑社
S・ハンター『蘇るスナイパー下』扶桑社

 特にお薦めの本はない。ただ『書店ガール』は書店の内情が分かって面白い。この本、大手の本屋には平積みになってないが、仙川の「書原」では平積みになったていた、だから買った。書店員の好みや気配りで本の売れ行きが違うということの見本だが、この本の内容通りでもある。『マスカレードホテル』もホテルの内情がよくわかる。『風のマジム』は、沖縄(南大東島)のサトウキビを使ってラム酒を作ろうと起業した女性の奮闘記で、実話を元にしている。『風のマジム』は本の中のラム酒の銘柄だが、実際は南大東島の「コルコル」というラム酒。こういう、みんなから無理だと言われながら気力と努力で成功していく物語は何時読んでも面白く元気が出る。

 東野圭吾は乱作気味。作品によって力の入れ方がわかる。『マスカレードホテル』は期待したが、うーんと言う感じで、少し無理があるかな。『パラドックス13』の方は時間パラドックスの設定の面白さだが、ラストにもう少し工夫が欲しかった。『銀翼のイカロス』は民主党によるJAL再建をモティーフにしたドラマで、今度は、あのオネエの役人とではなく、政治権力との戦い。同じパターンを何冊も読んでいるので、さすがに以前ほど面白いという印象はない。

 『星やどりの声』は家族の絆を描いた作品だが、予定調和的で『桐島、部活やめるってよ』『何者』のよりレベルは落ちる。S・ハンター『蘇るスナイパー上下』は私の好みで、古本市ではさすがにこの手のハードボイルドアクション系は売れない。『ユリゴコロ』は、よく出来ているストーリーだ。結構暗い話である。『革命のリベリオン』はシリーズ第一作。出てくるモビルスーツはエヴァンゲリオンを模したものか。SF好きなのでとりあえず読んで見た。『空の中』は新刊ではないが、SFなので読んで見た。まあまあといったところ。これからまだこの古本にするための読書は続く。

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