海ゆかば2011/06/15 23:13

 昨日(火曜)の夜は、代々木上原で室内楽のコンサートを鑑賞。マンションの隣の住人で音楽家の夫婦が、去年近所の一戸建てへ引っ越したのだが、コンサートの案内を送ってくれたので行くことにしたのである。さすがにプロの演奏家の室内楽で、しかも、スタジオ風の室内楽専用の会場。迫力があり、堪能した。「二人の天才」ということで、モーツァルトとメンデルスゾーンの曲が演奏された。両方とも三〇代で亡くなっている。最後に演奏したメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲変ホ短調Op.20」は16歳の時の作品だそうだ。解説でも言っていたが、確かに16歳でこれほどの曲を作ってしまったら長生きはできないと思う。

 音楽とあまり縁のない生活を送っているが、たまにクラシックのコンサートへ行くと、癒やされる。こういう余裕ももたなきゃと思った次第だ。

 いつもながらいろんなことが重なって、ぎりぎりの日々である。よく体が持つと思うが、我ながらたいしたものである。研究室の内側の扉に、チビの写真のコラージュが貼ってある。助手さんが私のブログから集めたチビの写真を、一枚にコラージュしたものだ。ストレスに負けずに何とか生きながらえているが、チビの貢献も大きい。

 北海道のM君から著作『海ゆかば』を送ってきた。以前から連載していたのをいよいよ本にしたのである。自費出版本だが、なかなか良い本である。どこか出版社で出して欲しい本だ。大伴家持の歌にある「海行かば水漬く屍~」のフレーズは、明治以降『海ゆかば』の歌として、作曲され、「君が代」に並ぶ国家の歌として、様々な国家儀礼に歌われた。明治のものは雅楽調だが、昭和に入り、西洋音階を取り入れて荘重な楽曲となる。

 当初は戦意高揚歌として歌われたが、次第に鎮魂歌として歌われ始める。Mはその辺りを豊富な資料を使って丁寧に追いかけていく。資料が戦争体験のものなので、読んでいて辛いときもあるが、古代の万葉集の歌が、近代になって復活していく理由について、Mならずとも興味が湧く。

 Tさんから書評してくれないかという連絡があり、引き受けた。自費出版本の書評は珍しいが、それだけ注目されたということだろう。ということで、また忙しくなったのである。 
      
                          海ゆかば古代の夏の白き雲

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