清酒「横超」2010/12/12 00:59

 今日(土)は、昔の友人たちとの忘年会。昔というのは四十年前のこと。一年に一度集まる行事だが、みんなさすがに歳をとってきた。平均年齢は六十代前半である。若い人たちも来ているが、これは、遅れてきた全共闘世代。

 まだまだみんな元気だ。さすがにいろんな人たちがいる。物書きもいれば、組合活動家、会社の経営者、農業、定年退職したもの、職人、労働者、得たいのしれない人、予備校の講師、私のような大学の教員、あるいは精神科医もいる。

 誰かが「横超」という清酒を持って来た。「横超」とは、吉本隆明が親鸞論で提起した有名なことばである。この集まりのメンバーは吉本ファンが多いので、その一人が、わざわざ「横超」というラベルをつけた清酒を造ってしまったというわけだ。ラベルの「横超」の字は、吉本さんの自筆で顔写真まである。勝手に造ったわけではなく、頼み込んで了解してもらったという。それにしても、ここまでやるか、という念の入れようで、テレビの「熱中人」に出る資格があるというものだ。

 私はここんとこ酒が飲めないので、その酒を味あわなかったが、秋田の地酒を使っているのでなかなかおいしいという。

 私は途中で退席。実は忘年会の前に、永池健二の柳田国男論の書評を書いていたので、それで疲れてしまったのだ。『柳田国男 物語作者の肖像』というこの本は、なかなか読み応えがある。2000字ほどだが、何とか書き終えた。

 彼も私と同世代だ。彼は柳田論をすでに四十年も前から書いていて、一貫して、同じ姿勢で柳田論を書き続け、やっと一冊の本にまとめた。その論にブレがないということに驚く。ポストモダンやカルスタ等の思想の潮流に流されず、かたくなに自分の確信を貫くその姿勢は私には真似が出来ないことだ。

 ここしばらく忘年会が続く。残念ながら私は今歯の治療をしていて酒が飲めないので、ウーロン茶でつきあっている。飲めたとしてもそんなに飲める訳でもないので、かえって気が楽で、仕事もはかどる。日曜は、マンションの忘年会である。

                      お互いに馬齢を重ねし忘年会