入試が終わって…2008/02/07 22:58

 何とか入試が終わった。といっても、A日程が終わったということでB日程はまだ残っている。毎年、入試は神経を使う。特に、問題をわれわれが作るので、ミスがでないか最後の最後までひやひやである。むろん何度も打ち合わせをして検討をし校正をして万全をきしているが、それでも見逃しがある。

 特に国語問題は、数学や歴史のように正解と不正解の明確な基準があるわけではなく、文脈をどう読み込むか、あるいは問題文の指摘の範囲を何処まで広げるか、という解釈の幅で、解答が揺れ動く場合がとても多い。入試問題を作る労力は相当なものなのである。特に、人件費削減で教員が減っている最近はその苦労が馬鹿にならない。よく試験問題を外注してくれという声があるがよく理解出来る。

 これから合格者数を決める作業に入る。何処の大学・短大もそうだが、これが一番難しい。私の学科は定員を充分に満たすほどの受験者がきている。むろん、定員ぴったりに取る大学は何処もない。全員合格にしても定員に満たないところは別だが。経営上なるべく多めに取りたいが、制度的に定員の1.3倍を越える数は取れない(もし越えたら文科省からの罰則がある)。今のところ、おかげさまで、1.3倍をとっても充分な倍率が出る(不合格者が出るということ)数が来ているが、この1.3倍を越えないぎりぎりのところでどうやって入学者数を確保するか、これが大変なのである。

 そこで、何人の合格者を出せば何人が実際に入学するかを計算して合格者数を割り出し、その数のところで試験の点数の合格ラインを設定する。その割合を決めるのが毎年の歩留まり率とその年の入試状況の判断になる。例えば、合格者の3割しか入学しない場合もあれば5割を越える場合もある。みな併願で受けているから、他の大学に合格すればそっちへ行く可能性があるのである。従って、何処の大学と併願しているかそれも計算しながら、その割合を算出するのである。この計算はやはりベテランのプロがいて、そのプロに任せるしかない。毎年、実際に入る入学者数は、予測した数のプラスマイナス2、3名くらいであり、そうとうな精度で最終入学者数を割り出すのでたいしたものだといつも感心している。

 この時期毎年いつもこんなことを書いている気がする。他に話題のないときだからか。民俗学者のA氏から『遠野物語』を読む会を作るが参加しないか、という誘いがあった。何でも、昔話の深層心理などを書いているK氏グループのユング派心理学関係の人達と読む会をやるそうだ。参加することにした。というのも、毎年、演習で『遠野物語』を読んでいて、学生には毎年レポートを書かせているのだが、自分では何にも書いていないのだ。実は、どう読んでいいのか悩んでいるのである。参加すれば、自分なりの読み方を見つけざるを得ないだろう。私は、こういうふうに追い込まないと何も出来ないのだ。こうして、また忙しくなる。

          睦月空試験場から見られけり

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://okanokabe.asablo.jp/blog/2008/02/07/2609232/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。