不思議な猫2008/01/29 23:52


 今は学期末試験の最中である。2年生は卒業がかかっている。この時期になるといろいろなことが起こる。トラブル処理係である私は毎日が大変である。

 授業は試験でないので少しは楽になったが、心労は逆に大きくなった。やれやれである。岩波の『文学』が届く。「八世紀の文学」という特集で、私の参加した座談会と論文が掲載されている。座談会は私の発言が少ない。F氏の勢いに圧倒されてほとんど何も言えなかった座談会である。

 私の論は「心情語論」であるが、昨年一年かけていろいろと考えていたことをまとめた論で、自分で言うのもなんだが、面白い論になったのではと思う。万葉短歌の物象と心象の表現構造を、八世紀の中央と地方の構造に対応すると捉えている。心情語を貨幣とみなすことで、何故、万葉短歌が、中央から地方へと広がり、地方の景が中央にもたらされたのか、という問題がうまく説明できる。

 心情語を貨幣として携えた官人たちは、地方に行って自然と出会い、心情語を心の財布から取り出して、詩的な景に交換したのである。これは譬喩としての説明だが、この譬喩はなかなか上手くいったと思っている。

 下仁田のおかた茶屋で買ってきた不思議な猫の彫刻の絵はがきと、いただいたカレンダーは、三輪途道(みわみちよ)というアーチストの作品である。どうもおかた茶屋の娘さんらしい。なかなか不思議な味わいのある猫でうちの奥さんはすっかり気にいっている。

     神さびて臘梅の下眠り猫