知人のこと2007/10/12 23:49

 先週今週と毎日出校。先週の日曜学校に行かなかっただけだ。今週の土日は学園祭とオープンキャンパスで、AO入試の面談予定。仕事はびっしり入っている。来週は、学園祭の後片づけや、創立記念日で、木曜まで授業がないので息が抜ける。

 石田衣良『4TEEN』を行き帰りの電車で読む。後期の推薦図書に今流行の作家の小説はどうかと読んでみた。一応直木賞受賞作ということだが、小説としては面白くはなかった。ただ、現代の病理がくまなくちりばめられていて、うまいなあと感心はした。中学二年のグループの物語だが、一人一人一話完結形式の物語である。それぞれの話には、病気、拒食症、援助交際、同性愛、家庭内暴力、性への関心等、現代の病が仕組まれていて、こういう病の中で少年達はなんとか逞しく生きていくのだ、というのが読ませどころということになろうか。現代の病理をショーウインドウに並べるように描くことに力点が置かれすぎていて、少年達の描き方が物足りない。文体も、ちょっと、軽いのりで書こうとしすぎだ。だいたい石田衣良のセンスはほぼ理解できた。推薦図書にするかどうかはわからない。 

 ちなみに今日の改札口のトラブルには私は巻き込まれなかった。ただ、帰りに東武東上線が人身事故でストップ、またかよ~だが、丁度有楽町線に乗り換えられたので、何とか川越に着いた。

 朝日の夕刊を読んでいたら、小阪修平の写真が大きく出ていたので何だろうと読んだら、そこは逝去した有名人の欄ではないか。ええーっ、彼は死んだのか、と驚いた。知らなかった。8月10日に心臓が原因で亡くなるとある。 

 小阪修平は、某予備校の論文科でずっと一緒に仕事をしていた。その論文科を立ち上げたときからの知りあいで、私が予備校を辞めてからは、彼が何冊かの本を出しているのを見てけっこう頑張って書いているんだなあ、と思っていたが、亡くなるとは。六十歳とあるから、私より二つ上ということになる。東大全共闘が三島由紀夫を呼んで討論したときに、三島とやり合った学生の一人が小阪修平だ。その後、評論家や哲学者として活躍していた。

 あまり顔色の良い方でなかったことは覚えている。たぶん私などより数倍も本を読んでいたはずだ。そのことが原因の一つだったのかも知れない。ご冥福を祈ります。

         そぞろ寒ああ彼はもう語らずや

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