増殖する麗江2007/09/08 01:16

 
 8月31日と9月1日は麗江に泊まった。実は、麗江に泊まる予定はなかったのだが、雲龍県での調査が早く終わったので、麗江に行くことにした。目的は、観光もあるが、と東巴博物館に行って確かめたいことがあったからである。去年も行ったのだが、その時はよく確認できなかったので、今回どうしても行って確認したかったのである。

 納西族の儀礼の展示に、署を祭る儀礼というのがあり、その説明には、人間は森林を伐採し水を汚染し動物を殺すなどして自然を破壊している。だから自然の神である署の神の怒りを鎮めるためにこの祭りを行うとある。学会で環境をテーマにしたことがあり、そこでこの祭りのことが気になっていた。この祭りについて展示を詳しく確認し、文献があるかどうか調べるのが第一の目的である。観光はせっかくきたのだから玉龍雪山に登ろうということになった。この山は6千㍍ある。リフトで上がっていくらしい。

 結局1日は雨で玉龍雪山は雨で中止。この観光に乗り気でなかった私はとりあえずほつとした。東巴博物館に行き、署の儀礼についていくつかの文献を買い求め、だいたいの内容を確認することができた。面白いのは、この署神は上半身は人間だが下半身が蛇である半獣の神であるということである。

 できればこの儀礼を実際に見て調査したいが、科研をとらないと無理かもしれない。けっこう費用がかかりそうだ。日程の問題もある。授業を休んでいつでも調査に行くというわけにはいかない。とりあえず、調査が可能かどうか、著名な納西族研究者に張先生から打診をしてもらい、後日を期すことにした。張先生はとても顔が広くこういうときは本当に頼りになる。  

 世界遺産にも登録されている麗江の街は来る度に増殖し、派手になっている。古い街並みの一つ一つの家は、全部といっていいくらい土産物屋で、路地の屋根の軒先には全部ライトがしかけてあって、屋根が光で浮かび上がるようになっている。中国人はこのライトアップが本当に好きである。

 ホテルは当日の予約だったが、出来たばかりの三つ星というふれこみのホテルに泊まった。民族調の二階建てで、確かに部屋は洒落ているが、トイレはレバーが壊れていて、蓋を持ち上げないと水が流れない。私の部屋だけか思ったら、同行のYさんの部屋もそうらしい。二ヶ月前にオープンしたばかりのホテルなのにである。二日目に上の部屋に家族連れが泊まったのだが、これがうるさい。足音がはっきりと聞こえ、夜遅くまで子どもは駆け回る。かなりの安普請のホテルである。

 とにかく、麗江の俗化はすごい。経済という面では、かなりの雇用を生んでいるのは確かだ。あちこちの店で服務員(従業員)の募集をしていた。特に女性の募集が多い。この地域の少数民族の若い女性達はみんな麗江に働きに来ているのだろう。ただ、彼女たちが民族衣装を着て、レストランで民族の踊りなのかただのダンスなのかわからない踊りを、客寄せにやらされているのをみると、複雑な気持ちになる。

    夏過ぎて赤ら顔の客帰る

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