友を見舞う2007/08/01 02:09

 今日は久しぶりに家で仕事。奥さんは山小屋へ行く予定だったが、隣の車と接触してしまったために、まずは隣の車を修理しなくてはいけないことになり、その対応で今日の午前中は潰れ、結局明日行くことに。隣の車の修理代は8万円になる。ほんのちょっとバンパーをこすっただけなのに。うちの車はドアがへこんでいるので、そんなものじゃないはずだ。とりあえずうちの車は修理しないで、傷はなるべく見ないようにしながら乗り続けることにした。

 午後は、末期癌のI君の家に見舞いに行く。折口信夫の入門書が読みたいと連絡してきた。いろいろ捜したが、岡野弘彦の『折口信夫伝』があったのでそれを持っていった。抗ガン剤の副作用か貧血気味で調子が悪いという。果物が食べたいというので、夕張メロンと桃を持参。うちの奥さんに切ってもらい一緒に食べた。いやあうまいと感激していた。
彼は今一人で生活している。一週間おきに抗ガン剤投与のために入院するが、それが終わると自宅療養である。今は以前と違って、よほどの病状でないと癌患者といえど入院はさせない。国の方針らしい。彼のような独り身には辛い話である。食事をつくるのもままならぬのであるから。

 まあそれでも起きて音楽を聴いていられるくらいには元気なので安心した。彼は、山小屋に行きたいという話をしているのだが、体調と相談しながらだ。俺もそろそろ後退局面かなという弱音を吐くようになったのが気になる。
 
 一日やることがないのでどういうことをやったらいいのか医者に聞いたら医者は写経をすすめたという。いくらなんでもそれは、ということで、奥さんと色々考えて、水彩画にしろということになった。しかし、末期癌患者に写経をすすめなんてなんて医者だ。もっと明るいことをすすめるべきだろう。

 友人のKは全共闘時代のことなどをテープに吹き込んで証言として遺しておけ、と言ったという。そんなことする気はないと彼は言う。たまたまハイビジョンで、戸井十月が全共闘時代の証言番組をやっていたが、それもわかる気はする。私も何か証言めいたことを遺さなきゃいけないのだろうが、あんまり遺したくもない。

 もう8月である。小田実は末期癌を宣告されて2年生きた。彼もそのくらいは生きていたいと言う。何とか生きられるよ、と答えたが、来年の8月にもまた見舞いということになればいいが。
 
 家に戻って仕事。夏休みを取れる人がうらやましい。

       沙羅の樹や癌とつきおう友一人