追い込まないとアイデアが…2007/07/23 01:41

 今回の奈良明日香は小雨模様で人もほとんどいなかった。万葉ミュージアムも暇そうだった。大丈夫だろうか。橿原神宮駅でバスに乗るのだが、ちょっと時間が空いたのでK氏と駅の周りを歩いたが、商店はほとんどない。ただ、駅前にはパチンコ屋の大きな建物があるばかりだ。それにしても、何でこんなに閑散としたところなのにパチンコ屋だけが駅前の一等地に潰れずにあるのか不思議である。

 どこの町でも同じだろう。川越の駅前にも駅ビルの一階に入っている。私も学生の時など暇なときは通ったが、それ以来ほとんど入ったことがない。金と時間がもったいない。そんなに暇ではないのである。パチンコで生計費を稼いでいるのは少数派だろうから、たぶん、暇つぶしが一番多いのだろう。田舎町にパチンコ屋が多いのは、田舎には仕事のない人達が多いからだ。お年寄りが年金をつぎ込んでいるという話を聞く。

 人間、歳をとっても穏やかに生きるというのは難しい。パチンコのような賭博性のあるゲームもまた必要なのかもれしない。老人の多い、穏やかそのものの閑散とした地方にパチンコ店の派手な建物を見る度に、人間の業のようなものを感じるのである。

 今回はK氏の発表で、ペー族の歌垣と万葉の比較がテーマだが、名前を尋ねたりすることや、噂の事例などを取り上げて比較をした。こういう比較は最近やっと出来るようになった。それだけ少数民族の歌垣資料が出てきたからである。ただ、万葉との比較はなかなか難しい。万葉は歌垣の歌ではないからである。が、根っこのところでつながっているのは間違いない。比較をすれば、逆にその違いも明確になり、万葉集の歌を知ることにもつながる。次回は私の番だが、どうなることやらである。

 沖縄からきたKさんと京都のMさんと京都の小料理屋で食事。値段は高いが美味しい和食であった。次の日は午後、東京入谷の公民館で万葉の話をする。ペー族の歌垣資料や、ついでに、前日のK氏のレジュメなども紹介しながら、歌垣と万葉集の類似や違いなどの話をした。

 夕方家に帰ったが、奥さんは今日山小屋に行っていない。私は、来週の岩波の座談会のテーマである、八世紀の文学というテーマについて万葉の勉強。とにかく、万葉の歌を読む。何度も読んできたが、何か万葉の歌について考える度に読み直す、その度に発見があるから面白い。ただ、なかなかいいアイデアが見つからず落ち込んでいたが、テレビをつけたら「プロミス」という中国の映画をやっていた。何気なしに見ていたが、あまりに荒唐無稽で逆に面白くてつい見てしまった。見終わって時間を無駄にしたと後悔。いつもそうだが、自分をぎりぎりまで追い込まないとアイデアは出ない。こうやって疲れていくのだが、考えてみれば自分を追い詰めて一種の興奮状態に持っていくということだ。パチンコをやっているようなものだ。これもまた業であるのかも知れない。

      炎天をものともせずや人の業