やっと楽になった2007/04/16 02:30

 今日岩波の座談会が終わり、ほっとした。これで今年前半のだいたいのイベントは終わった。今日は私の発表だったが、楽しい座談会だった。歌の言葉に関して、それぞれが本質的なところから語っていて、久しぶりに話していて面白かった。

 私は途中からの参加だったが、いろいろ勉強もし、誘ってくれたことを感謝している。久しぶりにプレッシャーを受け、かなり緊張したが、何とか乗り切った。二日続きのイベントだったが、何とか無事にやり終えた。どうなることやらと心配だったが、まあいつものとおり何とかなるものだ。

 明日(もう今日だが)から仕事である。やっと頭が普通の仕事モードになれる。しばらくは原稿のことを考えなくてもすむ。それだけでありがたい。

 青山七恵「一人日和」を読んだ。まあまあ面白かった。主人公の女性の、無為な生き方がよく描かれていたと思う。こういうのって若いときにあるよな、という感じはよく伝わってきた。激しいドラマがあるわけではないが、素直になれない女性のありそうな内面はきちんと描かれていた。それが芥川賞の理由だろう。

 ただ、物足りないのは、やはり文体だ。文章は作家の文章としてはうまくない。文章で人を引きつけない。吉本ばななのような、切なさを感じるような文体ではないし、なんて言うか、すっと内側に入れない、まどろっこしさがある文体だ。

 こういう小説はある意味で文体が命だ。最近、他の若い人の小説を読んでいないから何ともいえないが、この程度の文体で芥川賞になるのなら、作家の文章力は確実に落ちているのではないかと思う。学生に本を読ませるためにいろんなことを考えているのだが、その前に自分が読まなくてはと思い、最近の小説を読み始めたというわけだ。手始めに芥川賞の小説から読み始めたのだが、こんなものなのか、それとも、私の批評の感覚自体がおかしくなっているのか、もう少し他の小説を読んでみないと何とも言えないところだ。

        なんとなくものが言えた瞬よ風光り

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