武蔵村山2007/02/18 00:54

 週末は山小屋にも行かず、家で勉強。万葉集をとにかく読んでいる。自然と心情表現の対応関係を調べているのだが、読んでいくといつも思いがけず面白い歌に出くわす。こういう体験は、古今集にはない。やはり、万葉集の面白さだと思う。

 今日は、奥さんの実家の武蔵村山に出かける。両親とも80歳を越えてまだ元気で、というわけにもいかず、母親の方が数日だが入院していたので、様子を見に行ったというところだ(ご両親は元気でした)。ついでに、武蔵村山の郊外ショッピングモール「ダイヤモンドシティ」に寄る。

 映画館や三越やジャスコやととにかく馬鹿でかいショッピングセンターである。日産が撤退しその跡地に建てられたというわけだ。武蔵村山というのは、交通の便が悪く、東京都下で陸の孤島と言われているところだ。日産の街だったが、その日産が無くなったらどうなるのかと思ったら、こんなショッピングセンターが出来た。

 今日、午後テレビ東京で、地域の街紹介の番組をやっていて、丁度武蔵村山だった。街のベスト20を紹介するのだが、7割はダイヤモンドシティの紹介だった。要するに他になにもない町なのだ。

 帰りに、これも近くに出来たばかりの「ジョイフル本田」というこっちはホームセンター系の巨大ショッピングセンターに寄った。これも馬鹿でかい。ここは、日野自動車の跡地に建てられた。第二次産業の雄である自動車産業の撤退の後にこのような第三次産業の消費産業が進出する。日本の産業構造の変化の典型的な光景である。

 ちなみに、奥さんの父親は、もとプリンス自動車の技術者で、プリンスが日産に吸収され日産の技術者となり、浜松から武蔵村山に移ってきた。武蔵村山には、かつて日産で働いていた技術者や、下請け工場の技術者が多い。彼等はどうなってしまったのか。

 車のドアが接触事故でへこんだとき、ディーラーに見積もりを頼んだら20万は超えると言われた。ところが、奥さんの父親の紹介で、武蔵村山の小さな車の板金工場に頼んだら、3万円でやってくれた。しかも、完璧である。そこは老夫婦二人でやっている工場で、かつて日産の技術者だったという。日産で働いていた技術者は、こういうところで細々と生きているんだなあ、と思ったものだ。

 テレビ東京の番組で、武蔵村山出身の長井秀和が、武蔵村山では二人に一人は溶接が出来ると自慢していたが、そう言いたくなるのもわかる気はした。

 帰りに狭山のKさんのところに寄る。彼は昔からの付き合い。税理士で、私の確定申告を毎年やってもらっている。かつて予備校時代はけっこう稼いでいたので確定申告は大事だったが、今はほとんど給与以外の収入はないし、別に確定申告するほど稼いでいるわけでもないのだけれど、私の文章が東大の入試問題に使われ、それがあっちこっちの受験参考書に載るので、その印税の支払調書が多い。といっても一件あたり千円とか2千円程度で、大した額ではないが、申告はしなければならず面倒なので頼んでしまっている。  

 夜は新古今和歌集を通読してみた。

     青海苔のパリパリとしたむすび喰う