明日から中国2017/08/15 18:11

 明日から中国です。今回は麗江と昆明。麗江は歌謡の調査。昆明には学会で。雲南省へは毎年行っているのですが、いつも麗江や大理ばかりで昆明は久しぶりです。今中国は国内旅行ブームとかで、夏休みということもあり、麗江はすごい人だと思います。

 私の方は、8月6日までは校務で、やっと仕事から解放され、山小屋に行ったところ、疲れが出て風邪を引き寝込んでしまいました。これも例年のことで、仕事でたまった疲れがどっと出るようで、正月と、五月の連休と、夏休みに入ったときに大体風邪気味になって寝込みます。これも歳をとって体力が落ちてきているからで、大病にならないように身体が調節しているのかも知れません。

 回復して東京に戻り、中国行きの準備で忙しくしてます。荷物の準備はたいしたことはないのですが、学会での発表の準備があまり出来ていなくて、やや不安です。一応国際学会ですので、それなりのレベルの発表をしないと、せっかく参加する意味もないので、失敗しないように準備しているところです。問題は発表時間の短さで、間に通訳をいれてせいぜい30分でしょう。とすると、私の話す時間は15分程度で、どんなに短くしても、15分では無理です。かといって、中国語で発表できる力もないので、15分程度にどうやってまとめるか、それに苦心しているところです。

 内容は、ナシ族の署神を祀る儀礼と風土記の「夜刀の神」や「樹木伐採抵抗伝承」を比較しながら、人間と自然との関係について論じるというもので、環境問題にかかわらせたテーマです。今の中国にとってもっとも現在的なテーマだと思い、このテーマを選びました。はたしてどんな反応が返ってくるか楽しみですが、それ以前に、発表がうまくできるかどうかが問題なのですが。

 エンタメ系を中心に乱読は相も変わらずです。本屋で平積みになっている本から、村上春樹『騎士団長殺し』、恩田陸『蜜蜂と遠雷』、東山彰良『流』、宮部みゆき『荒神』、池井戸潤『アキラとあきら』『空飛ぶタイヤ』など。『騎士団長殺し』は村上ワールドを堪能させてくれて、さすがに飽きさせない物語に感心しました。ただ、いつもの作品にある時代を感じさせる暗喩がなかったのは、まだ完結していないからでしょうか。意外に面白かったのは『流』。台湾を舞台にした物語ですが、台湾の抱えた歴史の悲しみがよく伝わってきます。『荒神』はさすがでした。宮部みゆきはプロのストーリーテーラーだということがよくわかります。

 エンタメ系の追加、松岡圭祐『万能鑑定士Qの事件簿』Ⅰ~Ⅴ、ハヤカワミステリー『特捜部Q』シリーズ( ユッシ・エーズラ・オールスン)を三冊。高田大介『図書館の魔女 烏の伝言』一、二巻。
 『図書館の魔女』はファン待望の続編。さすがに読みでがありました。ファンタジー系では今一番のおすすめの本です。

 それから、呉座勇一『応仁の乱』、佐野真一『唐牛伝』、小山田浩子『穴』、本谷有希子『異類婚姻譚』、スラヴォイ・ジジェク『イデオロギーの崇高な対象』、等々。ジジェクはやっぱり難しい。というよりラカンが難しいのですが、この難しさに付き合わないと、現代は語れないのだということだけはわかります。『穴』も『異類婚姻譚』も心理学の分析対象として格好の芥川賞の小説ですが、ラカンを援用して語る力がありません。『唐牛伝』は私の一世代上の全学連委員長の伝記物語。歴史の表舞台に立ってしまった人間が、その後どのような人生を送るのか、学生運動にかかわった身として我が身や、友人たちのことを重ねながら読みました。