初めての競馬2012/11/25 00:11

 馬主の知り合いがいて、前々から競馬場にきませんかと招待を受けていた。それで、今日日程が空いていたので、奥さんと府中の競馬場につれていってもらった。一応、正装でということなので、私はネクタイ着用である。府中競馬場の地下駐車場に乗り入れ、エレベーターで7階の馬主の役員室へと案内された。実は私は競馬というものがはじめてで、競馬場に来るのもはじめてである。私の競馬場デビューなのだが、いきなりこういうVIP待遇でやや戸惑った。ただ好奇心でおつきあいしたのだが、こんなに立派なところへ案内されるとは思わなかった。

 ガラス張りの部屋からの多摩丘陵の景色が素晴らしく、外の特別席に出れば馬場全体が見渡せる。府中競馬場はとてもきれいで設備も新しい。かなりの費用をかけて改装したのだという。招待してくれたSさんは競馬場の役員もやっているので、普通入れないようなところへも案内してくれる。はじめて見る世界なので、ただただこういうものかと感心ばかりだった。

 競馬場では実にたくさんの人が働いていた。馬も近くで見ることが出来たが、とても可愛い目をしていた。観客の数も多かったが、明日がジャパンカップなので明日は今日の倍は来るという。政治家は日銀を脅して紙幣を発行させ国民がもっと消費するようにと苦心しているが、考えてみれば、今いるこの競馬場では、実に巨額の貨幣が消費され、その貨幣がたくさんの人の生活を支えているという意味で、貨幣がぐるぐる回っている場所だ。その意味では、資本主義の理想の場所なのかも知れない。かつて石原都知事が東京にカジノを作りたいといった意味が、実感としてよくわかる。

 私は競馬場に来たのは実ははじめてではない。小さい頃父親に地方のだが競馬場に連れられていった記憶がある。競馬場に入ると予想屋やという人が何人も大声で怒鳴っていて周りに人だかりが出来ていた。戦後の高度成長の前の頃だから、たぶん雰囲気はかなりすさんでいたのではないかと思う。父親は、競馬にのめり込み、母親が家を出て行くということになった。私と弟とは母親に引き取られたわけだが、そういうわけで、私の、競馬場の記憶はあまりよいものではない。

 私がギャンブルに興味がないのはそういった記憶も要因としてあるのかも知れないが、だいたい賭け事で勝ったという経験がないということが一番大きいだろう。7階の特等席で、一応馬券の買い方を教えてもらって買ってみた。新聞の予想通りに買ったが、単勝で一度だけ当たりあとは全部外れた。何となく、みんながのめり込む理由が分かった気がする。大枠では予想通りに人気の馬が上位に入るが、必ずしも一番、二番人気が一位になるわけではない。4、5番人気が一位になったりする。それを見越して、様々な組み合わせの買い方が設定されていて、みんなどの買い方が配当率がいいかリスク計算しながら馬券を買うわけだ。さらに、そこに馬への個人的な心情や勘といった不確定要素も加味されるので、考えれば考えるほど答えが出ないことになる。

 馬券の買い方も感心した。マークシートに塗りつぶす方式で、自動の馬券発売機にシートと金を入れるだけだ。払い戻しもその機械に入れれば自動で出てくる。ちなみに、京都競馬場のレースも同時に行われていて、その場で馬券を買えるようになっている。とにかく初めてのことなのでいろいろと興味深かった。

 馬主の世界についていろいろ聞くことが出来た。私たちの住む世界とは別世界の人たちの話ではあったが、競馬が結局消費そのものを目的にした祭りでもあるということだけは感じられた。馬主は、何億という投資をして馬を持つが、その馬が勝てなかったり骨折でもすれば、全部失う。馬券を買う人たちはその何十分の一の投資で同じ行為をする。そのような場では自分が普段の自分でないものになる。祭りと同じである。

 馬主さんは私が競馬にのめり込むかもしれませんよ、と言ったが、ビギナーズラックもなかったし、のめり込むということはないだろう。とにかく、毎日忙しいのだ。のめり込まなくても、競馬に行ける余裕は欲しい。馬券の買い方も覚えたし。

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