若宮おん祭りを見に行く2011/12/18 13:39

 金曜日に大学院の学生と一緒に奈良へ向かう。春日若宮おん祭りを見るためである。夕方6時頃に奈良着。近鉄奈良駅近くの中華食堂で夕飯を食べ、ホテルへ。11時にホテルを出て、春日大社へ。御旅所は灯りはついているが、中に入れない。暗い参道を若宮へと向かう。若宮の前ではかなりの人が集まっていって、参道の両側にびっしりと並んでいる。われわれもその中に紛れ込んだ。

 寒かった。今年の冬一番の寒さだという。午前零時に近くなると、係の人が撮影禁止、灯りを決してつけないでください、と触れて回る。下弦の月がちょうど出始めていて、ライトを付けたように参拝客の一部を照らしている。サーチライトを点けているのか見まごうほどである。

 やがて大きな二本の松明が地面に引きずられてやってくる。神の通り道を示すのと祓いの意味がある。そのあと、若宮が近づいてくる。若宮は榊で見えないように隠され、若宮を運ぶ一団はみなオーという声をだしながら通り過ぎていく。乱声というもので、まさに声で神のあらわれを現すのである。月明かりでやや神秘性が薄れるているが、それでも、この神の登場の仕方は、日本の祭りでも最も神秘的に演出されているものではないかと思う。

 真っ暗な中を乱声の集団がとおりすぎ、参拝客がその後を就いていく。若宮から御旅所までは1キロほどである。若宮を迎えた御旅所では暁祭りが行われる。献饌の儀のあと巫女舞がありそのあと撤饌で終了という短いもので、2時には終わる。それを見て宿に戻る。

 次の日、朝9時半に奈良の国立博物館で、春日若宮おん祭りの特別展示を見る。見終わって11時の近鉄で私だけ帰る。

 実は、奥さんはたまたま台湾旅行に行っていて、私はチビと留守番だったのだが、どうしても若宮おん祭りが見たくて、チビをどうしようということになった。それで、チビを仙川のいつも診てもらい動物病院に預けることにした。金曜の午前中に預けて、土曜の夕方に引き取りに行くことにした。ついでにワクチンの注射も頼んだ。病院に連れて行くとチビはがたがた震えだした。いつも注射を打たれるところだから、いい思い出はない。また手術以外で病院に預けるのは初めてである。心配ではあったが、仕方がない。ということもあって、私は土曜のおん祭りの遷幸の儀だけ見て帰ることにしたのである。

 17日は、昼からお渡り式があり、午後からは芸能が始まる。夜は還幸の儀だが、そこまでは見られない。大学院生は17日にやはり帰るが、ぎりぎりまで見ていくという。

 4時頃に病院にチビを引き取りに行った。さぞや心細くしていて飛びついてくるだろうと思ったが、こちらが期待するほどではではなかった。多少喜ぶそぶりは見せたが。

 その後、6時からマンションの忘年会。こちらもつきあいで出なくてはいけない。マンション住人に版画家の女性がいて、たままた今日のおん祭りの話をしたら、おん祭りにけっこう詳しい人で驚いた。ただ、マンションから二家族が引っ越すことが判明。ここは長屋みたいなマンションだから、やはり転居する人がいると寂しくなる。特に、最も古い住人が越すというので、みんな驚いた。まとめ役みたいな人だから今後どうなるのか。新しい住人がこのマンションのシステムを理解出来るかどうかそれも心配である。

 勤務先では将来構想の話でいろいろともめている。どうなることやらである。今年もいろいろ悩む事が多く、せわしない一年であったが、時間だけは過ぎていく。時に、後戻りのない進むだけの容赦ない時間は、救いにもなる。そんな気がする一年でもあった。

                        着重ねて若宮様を迎えけり

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