基礎ゼミはつらい2011/06/09 23:37

 基礎ゼミの授業に例年苦労している。この授業工夫しないとなかなか学生がついてこない。何せ、授業の受け方とか、ノートの取り方とか、レポートの書き方とか、基本中の基本、あえて学ばなくてもいいようなことを学ぶ授業だから、学生の方も退屈になる。

 授業と言うよりは講習ととらえているのだが、欠席が多くなると工夫が足りないのかなといささか落ち込む。先週と今週と、レポートの書き方を教えた。まずグループ毎に別れて、「日本に原発は必要か」というテーマで、グループ毎に討論して一定の結論を出すように指示した。資料も配った。そして各自、その結論に従って、序論、本論、結論という三つの構成に従って、簡単に要旨を書くように指示した。

 今週は、各自が提出した要旨に従って、原稿用紙に4段落から5段落構成で、原稿用紙の書き方に従って小論形式で文章を書くように指示をした。ただし、今度はグルーブで出した結論に従うのではなく、各自の考える結論で書くように言った。展開の仕方としては、まず「日本の原発は必要か」という問いに対する自分の意見を最初に書く。次に本論として、何故そう言えるのかを書く。その場合、反対の側の意見に配慮しながら書くこと。そして、最後に、本論を承けて自分の意見をまとめること、という指示をする。

 やはり原稿用紙のマス目に書かせるとそれなりにきちんと書く。とにかく、内容ではなく、形式としてまずは整った書き方を身につけさせるのが目的。そして、論理的に展開するとはどういうことなのか、それを意識させること。「原発問題」は賛成・反対・その中間、という立場がはっきりしていて、論じやすいのでテーマとした。

 学生はよく書いていた。最初に自分の意見を書け、と指示したのに書いていないのがいた。授業の最初に居眠りしていた学生である。指示通り書かないというのも、基本ができていないことと同じ。短期留学の単位認定の条件として、研修報告レポートを課しているのだが、その条件として、レポートの書き方はもちろんだが(例えば一字下げるとか、改行するとか基本的なことを含めて)、四つの項目を指示し、見出しを立てるように指示した。

 ところがだ、4名ほど見出しがない。2名ほど改行のない文章を書いている。ワープロで書くので、こういうブログの文章と同じような感覚で書いているらしい。厳格なら単位は認めないが、教育であるから、当然書き直しを命じた。あれだけ、書き方を指示していても守らない。授業で守らなくてもべつにと思っているかも知れないが、社会に出てその癖は必ず出る。それがきっかけで自分の人生がおおきく変わってしまうかも知れない。後悔しても遅いのだ。

 基礎ゼミとはそういうミスを防ぐための訓練である。完璧の璧を壁と書いてしまう学生が2~3割はいる。誰でもこういうことはある。そう思い込んでいるのである。私にだって時々間違って思い込んでいたことがわかって恥をかくことがいくらでもある。ただ、私の場合、もうそれで人生を狂わすことははないだろうが、これから社会人になる学生は違う。常識的にみんなが出来ることはとりあえずこなす、という基礎は身につけなければならない。だが、そういう訓練はつまらない。ワクワクできないからだ。だから教える方もつらい。

 ところで、「日本に原発は必要か」を書いてもらつたが、3~4割くらいは必要という意見であった。これは意外であった。今時の女子学生、案外現実的である。もっともこの傾向、世論調査とそう変わらない。ある意味で、常識的な反応なのかも知れない。ただ、どういう情報や資料を用いるかで、その意見もまた左右されるとしても、みんなそれなりに良く考えている。中には、かなり主観的な書き方もあったが、総じてレポートらしい書き方になっていた。少しほっとしたというところである。

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