水抜き2011/01/07 00:00

 今日山小屋から戻る。山では昨夜雪が降り、少し積もった。午前中は天気が良く、雪の道をチビと散歩したがなかなか美しい風景だった。散歩が終わり、すぐ東京へ帰り支度。さすがに時間がかかる。一週間以上居たことになるので、それなりに荷物が増える。掃除もしなくてはならない。傾斜地にある家なので、道路の来る車まで運ぶのも一苦労である。10時半から準備を始めて終わったのは12時半。2時間かかった。

 他の家では帰るときに水抜きというものをする。水道の配管の水を抜いてましわないと、凍って水道管が破裂する。普段に生活して使っている時は、水道管にヒーターが巻いてあって、氷点下になればサーモスタットが働いてあたためるようになっている。が。留守のときは、電気代がもったいないのでどの家でも電源を切って帰る。そうすると、ヒーターがきかないので、水道管が凍らないように水を抜くのである。だが、この水抜きがとても面倒で、しかも、完全に抜けない。例えば、トイレのウォシュレットの中は構造が複雑で水抜きが完全には出来ない。私の家でも、水抜きを始めてから1年後にウォシュレットをだめにした。

 水抜きというのは、家の内外にある幾つかの栓を開ける作業である。とにかく管の中にある水を排水する必要がある。一つでも忘れると、そこの水が凍って管の破裂ということにつながる。このトラブルがとても多い。そして、家に来たときには、今度はその開けて栓を全部閉めなければならない。閉め忘れると、水を流したとき水が噴出するということになる。こおるような寒いときにこの作業やるので水抜きは大変なのである。お金持ちの別荘地では、管理事務所が高い管理費の仕事の一部として水抜きをやっているところもあるが、私のところは、そういうところではないので自分でやらなくてはいけない。

 当初は何年か毎年水抜きをしていたのだが、ある年に、面倒だし、失敗してトラブルになることもあるので水抜きはやめようと決意した。つまり、留守でも普段に生活している時と同じように電源を入れっぱなしにして、水道管をヒーターで暖めようというのである。問題は電気代だが、実は、水道管用ヒーターの節電器具というのがホームセンターで売られている。ヒーターのサーモスタットは、電源の入る温度がやや高めに設定されていて、凍るほどのさむさでなくてもヒーターが働く。だが節電装置をつけると、凍結するぎりぎりの温度にならないとヒーターが作動しないようになっている。従って電気代もかからない。それで、この節電装置をつけて、一年中電源を入れて置くことにしたのだ。だから、冬でも、わが家では水抜きをしなくなった。

 問題は、節電装置で凍結事故はおきないかということだが、すでに10年近く使っているが、一度も起きていない。電気代は高くならないか、という危惧も、一ヶ月留守にしたとして、夏と冬とでその差は2千円から3千円である。寒い冬の時期だけであり、しかも、一ヶ月行かないということもないので、実際はそれほどの差はない。何よりも水抜きの苦労や水道管破裂の不安から解放されることの意義の方が大きい。

 ということで、わが家は水抜きをしないのだが、人に勧めても誰も賛同してくれない。冬は水抜きをするものだと思っているのと、やはり、電気代がもったいないとか、それでも凍結するのではとか、いろいろ不安を言う。ヒーターをつけていて凍結するなら、留守でなくて普段に生活をしていると時でも凍結する。普段に生活している時に凍結しないのなら留守の時でも凍結はしない。問題は、水抜きに伴う物理的面倒やそれでも発生するトラブルのリスクと、水抜きをしないことによって余分にかかる電気代のどちらをとるかである。

 わが家では電気代がかかってもこっちの方がよいと選択した。が、ほとんどは水抜きをする。何故みんなわが家のような選択をしないのか、私としてはどうも不思議なのである。 

 雪積もり内なるものが身をふるう