文化の日に映画を観る2010/11/04 00:13

 文化の日、天気が良くて出かけたいところだが、授業の準備でそれどころではない。奥さんは稽古事で留守。日曜に本番があるそうでけっこう練習に忙しい。午後まで明日の万葉集講義の準備。それが終わって、近所といっても遠いがツタヤに行き、DVDを借り、それから西友によって夕方の買い物。ツタヤでは、四本千円なので、新作を一本と旧作三本を借りる。全部は見られないが、千円だから。

 夜、新作を観る。「オーケストラ」という映画で、ソ連時代のボリショイオーケストラを当局ににらまれて解雇された天才指揮者は30年後そのオーケストラの劇場の掃除夫をしている。パリからオーケストラ宛の招聘のFAXを見た指揮者は、かつて一緒に解雇された仲間を集めて、自分たちがパリで演奏しようと画策する。

 かつての団員たちは、落ちぶれて様々な職業についている。果たして演奏できるのかどうかわからない。とにかくなんとか数を集めて、自分たちがオーケストラだとパリの劇場をだましてパリに行く。リハなしの本番で演奏をやることになる。曲はチャイコフスキーのバイオリン協奏曲。指揮者はソリストに著名な若手の女性バイオリニストを指名。実は、そのバイオリニストはかつてオーケストラを解雇された時の出来事に因縁があった…

 ほんとうに演奏はうまくいくのか。はらはらさせながら感動させるのは、この手の音楽映画の手法で、とりあえずうまくできていて面白い映画です。ソ連の共産党の幹部が狂言回しの役をやっていてこれが笑える。彼は30年前指揮者を破滅させた張本人だが、指揮者の計画に積極的に協力する。後で実はフランスの共産党の大会に参加するためだとわかるのだが、この大会がほんとうにちょぼちょぼの人数で、かわいそうになる。けっこう笑える映画です。

 某国文関係の雑誌から原稿依頼がある。なんと「益田勝実」である。研究史の特集を組むらしい。何で私がと思ったが了承の返事を出す。ちくま文庫から出た五巻の「益田勝実の仕事」は買い揃えてあるので早速読み出す。締め切りは来年だが、今からきちんと読んでおかないと。まず説話関係の論文から読んでいるが、読み出すとけっこう面白い。

 今同時進行で読んでいるのが、加賀野井秀一『メルロ=ポンティ』。伝記兼解説本だが、読みやすくてこれも面白い。やっぱりメルロ=ポンティだよなとつくづく思う。哲学で私が一番一生懸命に読んで、親近感が持ててよくわかるなあと思ったのがメルロ=ポンティである。加賀野井の本はまだ全部読んでないが、もう一度『知覚の現象学』を読んでみたくなった。

                    読み終えぬ本ばかりなり文化の日

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