就職難の時代2010/09/07 01:11

 四日から山小屋に来ている。こんなに暑いと疎開という言い方がふさわしい。今年は異常気象だが、来年から続けば異常ということではなくなる。将来猛暑日はさらに二十日は増えるだろうと環境庁の予測。いったいどういうことになるのであろうか。

 山小屋ではベランダを修復した。安くあげるために防腐剤を塗るのは自分たちでやることにした。それで、昨日今日と、私が防腐剤を塗った。キシラデコールという塗料で、においがきつい。このにおいが鼻についてなかなか取れない。家中がまだにおっている。さらに、廃材の後始末やらで一日中肉体労働ということになった。おかげで少しやせた。中国で少し太り気味になって帰ってきたので、ちょうどいいというところである。

 ただ、論文の構想を練る目的で来てはいるが、そっちが少しも進まない。今構想が二つある。一つだけなら、とにかくそれで書くしかないのだが、二つあるので悩んでいるのだ。どっちにしたらいいのか、どっちも捨てがたい、というのもあるが、どっちも、同じくらいに、何となくの構想だけで具体的な面のイメージがわいてこない、ということもある。ちなみに、資料はどちらもあるのだが、資料だけでは書けないのである。

 もう少し悩んで、決断して書き進めるしかないだろう。そのうちいいアイデアが浮かんでくるのを待つしかない。

 BSフジのプライムニュースを時々みるのだが、今日は大学の就職特集である。とにかく、昨年度の就職は厳しかった。私の学科でも、かろうじて内定率が80パーセントを確保したが、最初はこれは70パーセント前半かなとあきらめていた。短大なので、就職難の波をもろに受ける。

 結局、二時間近くコメンテーターの話を聞いていたが、結局、解決策はほとんどないということだけがよくわかった。IT企業の経営者が、大学新卒に税金で補助して就職対策するより、高齢者の就職対策した方が社会にとって有益だと話していて、それが妙に説得力があった。実は、若者は職を選ばなければ就職口がないわけではない。今の就職難の一つの理由は若者の甘えにある、というような口調である。企業側だから言える言葉であるだろう。大学関係者としてはなかな言えない。

 若者の総人口が激減しつつあるが、経済規模はそれほど縮小しているわけではない。とすれば、贅沢を言わない限りは就職口はあるというわけだ。むしろ、何でもいいから働き口を見つけたいが、その働き口がない高齢者の方が深刻である。特に、就職しないで家に引きこもる若者の面倒を見る高齢者に職がないと、どうなるか。NHKの無縁社会の特集でやっていたが、あっというまに地域から孤立し、悲惨な結末を迎える。

 とにかく生きるために働く、というのも就職の考え方である。私の親はそうやって働いていたし、私も就職とはそのようなものだと考えていた。たぶん私の世代や上の世代も多くはそのように考えていたのではないか。だから、就職しないということは、働かないということでなく、人と違う生き方をしたいということであって、自分の力で食い扶持を探すということであった。

 だから、良い就職口がないからとあきらめたりするということなどなかった。高度成長時代でそれなりに働き口があったということもあったが、でも、そういう働き口はほとんどは零細か中小企業だった。それでもみんなそういうところで働いた。

 今の学生をみると生きるために働くというのがない。それはそれで良い時代になったという見方も出来る。みんな自分の夢の実現のために企業を選ぶと語る。それはそれで良いのだが、選べないとすぐにやる気をなくしてしまう。競争の時代に勝てる勝ち組になれというのではない。勝ち組でなくても、たくましく生きることは出来る。人生は長いのだから、とりあえず生きるために働き、徐々に夢を追いかければいいのである。

 最近、短大の推薦入試などで面接をするのだが、どうして短大を選んだのと聞くと、親の経済的な理由をあげ、早く就職して親を楽にさせたいから、と話す学生がすこしずつではあるが増えてきた。けなげな子たちである。そういう言葉を聞くと、思わず目頭が熱くなったりするのだが、生きるために、というたくましさがまだ消えてなかったのだと、安心するのである。

                      蜻蛉のふと休みし世を生きてゐる

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