兄妹始祖廟2010/09/02 01:09

 今日も暑い中を出校。バス停でバスを待つのが大変。とてもじゃないが歩いて駅まで行けない。いよいよ日本も亜熱帯になってきた、ということか。雲南省では、昼休みが2時間ある。12時から2時までで、食事のあとは昼寝タイムのようだ。南の方はだいたいがむしゃらに働かないのだ。日本人もこれからは、そんな風にしていかないと、身体が持たないと思う。

 さて24日は人祖廟を祭るイ族の村へとみんなで視察。総勢五〇人以上はいる。小型バスと車の車列が何台も続き、例によってパトカー先導で移動である。人祖廟というのは、中国では割合あちこちにある。だいたい伏羲と女媧という中国の古代神話上の始祖神を祭るのがほとんどである。が、ここで、村に伝わる兄妹洪水神話の兄妹を始祖として祭っていて、これはかなり珍しいということだ。もともとは山神だったのではないかという説も出ていた。

 村の背後は聖樹の森になっていて、此処だけは伐採されていない。やはり聖域の環境はそれなりに守られるのである。日本の鎮守の森が守られているのと一緒である。面白かったのは、この森の後方にいる仙人洞という洞窟には神がいて、その神にお願いをすると椀などの食器を貸してくれるという伝説があることである。いわゆる椀貸し伝承で、日本にもたくさんある。

 25日は、かなり遠い山奥のイ族の村に入った。国際シンポジウムのご一行がくるというので、村では大騒ぎであった。村の近くの聖なる山で龍樹祭りを行ってくれた。いわゆる聖樹の祭祀である。その前の広場では、踊りあり、民族衣装をきた娘さん達の合唱ありで、なかなか賑やかであった。だが、あいにくの雨で、かなり下がすべりやすくなっていてた。特に道路から山の傾斜地を登って行かねばならない。下は赤土でかなり滑りやすい。 村人にみんな支えられて登って行ったが、何人かは見事に滑って転び、身体の半分ほどを泥まみれにしていた。

 この村で兄妹始祖神話をビモが歌っているのを聞くことができた。まだこのように神話が歌われている村がある、ということを確認。開遠市の人たちがわざわざこの村に連れてきた理由がよくわかる。できれば、中国の研究者が、ビモの歌う歌を全部逐一録画して、その言葉を国際音声記号にして、逐語訳をする、という作業をするべきなのだが。できなければわれわれがやるしかないのだが、誰かやってくれないだろうか。

 闘牛も行われていた。郷の街では歌や踊りの舞台があってものすごい人出である。どうもわれわれを歓迎してのことらしい。とにかく、外国から大勢学者がきたということで、お祭り騒ぎなのである。たぶん、役人達がそのようにお膳立てをしたのであろうが、ここまで歓迎されると戸惑うばかりであるが、その歓待はとてもうれしかった。

                         兄妹の始祖に送り火手向けする