切羽詰まらないと…2010/07/14 01:23

 ブログもしばらくぶりである。とにかく書く暇がなかった。一つは風邪を引いたこと。この10日間は辛かった。今は何とか持ち直したが。それから、とにかく原稿を書かなきゃということで、毎日原稿を書いていること。授業の準備があり、しかも、先週には、大学の第三者評価の研修会というのが二日間あってそれに参加。土日は風邪も治らずに山小屋へ。

 夏の雲南シンポジウムの準備も大変である。さらに「七五調のアジア」の原稿を集めて出版社に持っていくことも。色んなことがこの七月に集中して、さすがに、自分のことが心配になってきた。まあなんとかなるとは思うが。学科長という仕事をしていたら持たなかったろう。辞められてほんとによかった。学校の方もいろいろ大変なのだ。

 日曜は山小屋から帰ってきたが、選挙の当日なので帰りがけに投票。予想通り民主党の大敗。政権交代でまだやりたいことはやっていないだろうに、これで民主党は何も出来なくなってしまったというわけだ。自業自得の面もないわけではないが、管首相はある意味で政治家のセンスに欠ける。管1人で負けた選挙になってしまった。

 民主党の敗北は、日本国民の敗北なのかもしれない。望んだわけじゃないだろうが、日本人は混乱を選択した。政治の不安定は経済にもマイナスだろうし、先行き見通しは暗い。去年の選挙は、福祉切り捨てや格差社会を許さないという民意が機能した。今度は、増税は嫌だという民意が働いた。この二つは矛盾している。共産党のように矛盾無くこの二つをやれるという政党もいるのに、民意はそれを支持しない。要するに日本人は混乱しているのである。

 みんなの党のように官僚改革で財源を作るというのはたぶん無理である。巨大化した官僚システムを短期間で縮小するのは、暴力革命以外に無理である。役人はみんな税金泥棒というのは昔の幻想であって、役人の大半は国民へのサービス業であるから、革命は、そのサービスを徹底して破壊する。とすれば一番悲惨なのは低所得者になる。暴力革命でない官僚改革というのはだから時間がかかる。漢方で身体を治すようなものだ。官僚システムを改革して無駄をなくしてから増税、というのは、借金返済にかなり時間をかけてもいいというのでないと無理である。たぶん、今の日本にその余裕はないだろう。

 その意味で管首相の消費税発言は間違っているわけではないだろうが、ただあそこで言うべきではなかったということだろう。それを冷静に受け止めるほど日本人は成熟していているわけではないということだ。その点、小沢一郎は日本人の未熟さをよくわかっているから、選挙に決して都合の悪いことは言わない。管が負けなかったら日本人はまだたいしたものだと思うが、結果は反対だった。

 最悪の予測は、日本人は自分を外圧以外でのやり方では変えられない、という宿命みたいなものがまた繰り返されるということである。あと何年か後に借金が日本人の預貯金額を上回り国債の信用を落としたとき、日本は外圧によって緊縮財政になり福祉はかなり削られる。その時ひどい目にあうのもまた低所得者である。このままではそうなる可能性がかなり高い。

 私は大きな政府を作ろうとしている民主党の政策はあまり支持しない。新しい公共のあり方を探っている民主党の若手に期待している。官によるサービスは徐々に民の自助的な相互扶助に切り替えられるべきであり、政府はその補助をするべきというのが私の考えだ。そのように切り替えて行けば、漢方薬が効くように、官僚システムは縮小していく。手術でいきなり官僚システムを切り取っても、削り取った政治家の作った官僚システムが台頭してくるだけの話なのだ。

 民主党が地方で大敗したのは、地方が自民党や民主党の徹底した補助金制度で自立することが出来なくなり、増税という負担を受け入れる力がないからである。この改革も時間がかかる。政府に頼らない経済的自立を、政府が推進するということをできるかどうか。

 でも、考えようによっては、日本人は選挙で混乱を選択したという自覚は持ったろうから、良いことだったのかもしれない。選択の結果は自分に返ってくる。今私たちが出来ることは、政府に頼らない生き方をどう身につけていくかだ。年金なしで生きろということではない。でも、それでも生きられるような相互扶助的な仕組みを作るべきだろう。地震で壊滅した被災地の人たちは、そのように生きたではないか。出来ないことはないのだ。むろん、切羽詰まらないと出来ないかもしれないが、そのうちそういう事態がやってくるだろう。

                         夏空は切羽詰まって雲ばかり

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