ベーシックインカム2009/10/05 01:05

 S夫婦の三人目の子供が8月に生まれた。その赤ちゃんにご対面ということで坂戸まで出かける。上の二人は女の子。三人目は男の子。少子化のこの時代、三人は子だくさんであり、日本にとってはありがたい家族だろう。

 子供を三人連れて散歩していると、通りがかりの老人から子供手当をたくさんもらえていいですね、と声を掛けられたという。祝福というよう言葉ではなかったという。確かに今子供手当が話題になっているから、子供が多いと思わずいくらになるか勘定してしまう。そういう風潮が確かにある。

 その分扶養控除がなくなるので憤慨している国民もいる。でも、考えてみれば、扶養控除などという発想は、妻は夫に扶養されるべきもの、という考え方に基づいたものである。共稼ぎには限界があり、子育てする側はパートで働かざるを得ない。だから控除が必要となるが、被扶養者としての優遇を受けているのだから、ある限度を越えて働いたら優遇しないよ、というのが控除に限度額を設ける発想である。

 配偶者控除とは、このように妻は家庭を大事にするべきで必要以上に働かなくていいという考え方にたっている。こう考えたらこの制度はやはりおかしいだろう。子育てが大変なら、そのことに手当を出すか、もしくは、その家族に減税をすべきで、妻という配偶者は働くべきでないからという発想で控除をするのは、ある意味で差別であると言ってもいい。

 だから、子供手当を出して、扶養控除を無くす民主党の政策は、それなりに理にかなったものである。本当は手当を出さなくても、一人の稼ぎで、無理なく子育てが出来てきちんとして教育を子供に受けさせられる社会であれば、手当は必要ないのだが、そういう社会ではないから、公的に子育てを支えざるを得ないのである。

 BIという考え方があるそうだ。ベーシックインカムというもので、国家は国民一人一人に生存が可能な最低限のお金を給付するといいう政策のことである。試算では一人月額8万円だそうで、これを実現するためには、所得税を46パーセントにする必要があるという。ただ、所得税は高いと言っても、生活の不安が無くなるので、社会保険は必要なくなる。その意味では負担分はもっと軽くなると言われている。究極のばらまきであり、ある意味では社会主義的な政策のように見える。

 この政策の面白いところは、生存に必要な平等は保証する、というもので、経済格差そのものを否定しないということである。これからの福祉社会の行く末を暗示するものだろう。子供手当もある意味でこのベーシックインカムに近い発想である。

 人間の基本的生存権を経済的に保証した上での資本主義、というように資本主義を選択する国家は資本主義に対さざるを得ないだろう。中国は、今、資本主義を選択しながら理念として社会主義をことさら強調している。この矛盾は、ある意味で当然なのであり、社会主義でない国家も、同じような矛盾を別な形で強調している。例えば日本の民主党がそうである。これは必然なのであって、決して悪い方向に進んでいるわけではない。  

                       天高く誰もが愉快であればいい

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