白鷺の舞2009/04/13 00:18


 今日は午前中川越の家に。一年空き家になっているのだが、知りあいに安く貸すことにした。そのためには最低限のリフォームも必要なので、これも知りあいに頼んだ。外国人で日本で働いているひとだが、いい人でとても安くしかも丁寧に仕事をしてくれる。最近景気が悪く仕事がなくて大変だという話を聞いた。私などは、この人に仕事をして少しは生活の足しにしてほしくて仕事を頼んだのだが、あまりに安く引き受けてくれるので、逆にいいんだろうかと心配になる。

 午後浅草へ。浅草の雷門の前のジャズハウスで、福島泰樹の出版記念パーティを兼ねた短歌絶叫ライブがあるので、顔を出す。一応私も発起人のひとりになっているので。早くついたので、浅草寺に詣でたが、さすがに凄い人であった。白鷺の舞という踊りが境内であり、それを見ることの出来たことがよかった。白鷺は稲作の豊作の象徴。白鷺の格好をした舞は全国にある。

 福島泰樹のライブはいつものようになかなか盛況だった。浅草ということで、地元なので彼の寺の檀家の人たちも来ていて、福島さんのことを和尚さんといいながら挨拶していたのは面白かった。私が中締めをやらされて困ってしまった。こういうのはいつも苦手である。

 歌の力という話を少しした。歌の力というのは、二つの異なった世界をつなぐ力だ。この世とあの世とか、男と女とか。むろん、言葉が同じで無ければ難しいが、それがクリア出来れば凄い力を発揮する。福島さんはいつも亡くなった人のことを歌うがそれは歌の力を信じているからだ、というようなことをかいつまんで話した。

 帰ったら、西條勉さんと寺川真知夫さんから著書が届く。西條さんの本は『アジアのなかの和歌の誕生』というタイトルで、和歌を全く新しい方法論で捉える、と帯にある。本には私のことも少しばかり出てくる。光栄の至りである。私もそろそろ本にまとめなくてはとせかされる思いである。

 帰りは銀座線で浅草から渋谷へ。始発から終点まで乗ったわけだ。本でも読もうとしたが眠ってしまった。居眠りするにはいい季節である。夜NHKで、アマゾンの原住民ヤマノミ族の番組を見る。ナレーションが田中泯。最初から不思議な雰囲気のドキュメンタリーである。赤ん坊の間引きから番組は始まる。その年に生まれた子供の半分は、精霊として天に帰される、ということらしい。

 異文化的な視点ではなく、彼等の精神世界に入り込もうという試みを強く感じた。その意味でなかなかいい番組だったと思う。シャーマニズムも見ることができた。彼等もまた近代化の波に呑まれようとしていることもわかる。アマゾンの奥地に住む彼等ですら国家はほうっておかない。もう世界には世界と没交渉の民族はいないだろうと思わされる。

                     花曇り死者に向かって歌うひと

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://okanokabe.asablo.jp/blog/2009/04/13/4242170/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。