ひとりのリスク2009/03/11 00:14

 久しぶりのブログ。近況報告から。先週の土日は奈良へいつもの万葉の研究会。月曜は卒業パーティ。いつものディズニーランドのホテルである。今日は朝から会議。日曜から奥さんが旅行に出かけていて、チビの散歩をするのに朝早く起きなければならないし、夕方も遅くなれないし、結構忙しい。

 自己点検・評価報告書の作成に追われていて、目が回る。二月締め切りの原稿催促の手紙が来る。とにかく今書ける状況じゃないと泣き言を連ねた言い訳の返事を出しておいた。

 こんなに忙しいとは、これも歳を取ったせいだなと思う。無理がきかなくなってきている。徹夜してでもという気力と体力がない。たいてい今まではどうにかなってきたものだが、もうそういうわけにもいかなそうだ。無理なことは無理だと観念すべきだろう。いままで無理なことを引き受けて何とかしてしまうことを面白がっていたところがあって、そういうのはもうやめにする。

 卒業パーティで学科長の挨拶というのがあって、会場に行くまでに何を話そうか考えた。めでたい席だけど、今の厳しい経済状況を考えて、次のようなことをしゃべった。

 わたしたちの社会は一人で生きることを、一人は気軽だ、自由だと言って、価値としてきたところがある。だからけっこう一人で生きることを選んだ人たちが多い。でも、今の時代を見ていると、一人で生きることは、けっこう高いリスクを覚悟しなければならない生き方になってきている。例えばあの派遣村を見るとわかるが、職を失って住むところが無くなるまで追い込まれるのは、一人で生きている人が多い。

 実は、そこには男女の違いがある。女性は一人で生きることのリスクの高さををよく知っているから、誰か頼れれる人を探したり、人と人との関係を大事にする。そういう努力を男はやってこなかった。だから、派遣の割合も派遣切りも圧倒的に女性の方が多いのに、女性が住むところを失う程までに追い込まれないのは、一人で生きることの辛さを男より理解していざという時に頼れるところを持っているからだ。

 だから、君たちは一人で生きることを警戒した方がいい。高望みしないで早く結婚したほうがいい。ダメな男を掴んだらすぐに取り替えればいいのだから。負け組にならない方がいいし、お一人様老後にならないようにした方がいい。友達も大切にしたほうがいいし、短大の友達とも歳を取ってもいつまでもつきあえるようにした方がいい。

 と、スピーチしたが、ちょっと場違いなスピーチだったかも知れない。後で気付いたが、卒業生よりも、ある教員にとっては自分のことを言われたような気がしたかも知れない。一人で生きている人ってけっこういるのである。 

                         春めきて犬が寄り添うひとひとり