読書座談会終わる2008/11/03 00:33

 三浦しをんさん、橋本五郎氏との読書をめぐってのセミナー(座談会です)が終わった。290名入る教室だが実数320名来たという。さすが流行作家だけあって人が集まる。橋本氏もテレビでよく見る人だし。

 橋本氏が司会のような形で始まった。最初、三浦さんの『信仰が人を殺す時』の話題から始まって、宗教と暴力の話になり、橋本氏がいきなり私に世界各地で起こっている宗教紛争についてどう思うか、とふってきた。おいおい、読書の座談会じゃないのか、何でそんな難しい話をしをこの私に聞くんだ、聴衆が引くだろう、とかなりあせった。

 私はシャーマニズムの話から入って、宗教紛争の宗教はたかだか2千年前に起こった教団宗教だから、もっとシャーマニズムのような地域に根ざした宗教文化に寛容になれば違ってくるのではないか、というように返したが、かなり冷や汗をかいた。

 どうもこれは最初にちょっと堅い話で緊張させてから徐々にくだけた話に持って行く作戦だったようで、さすがこういう場に慣れている人の司会ぶりであった。

 2時間はかなり長かった。でも、まあ聴衆を飽きさせずに何とか2時間保てたのではないか。しをんさんも橋本さんもこういうトークには慣れているらしく、自然体でいたのだが、私はやはり緊張していて、胃のあたり痛んでしょうがなかった。終わってから、けっこうたくさんしゃべりましたねと、聴いていた関係者から言われたが、どうもこういうときはハイになってしまうらしい。振り返ってもっと上手く言えたのにと後悔することしきりだったが、ま、こういうものである。

 終わって正直ほっとした。この企画が持ち上がってから、しをんさんの本とか推薦本をけっこうを読んでいたから、これで読まなくてすむという安堵感もある。が、少し寂しくもある。推薦本のうち、結局『神聖喜劇は』第三巻の途中でタイムリミット。いたずらに長い小説である。

 何で『神聖喜劇』をえらんだの?と聞いたら、古本屋でバイトしていたとき、年寄りが『神聖喜劇』はあるかと買いに来たから、どんな本だろうと興味がわき、最近新装版で出たので読んでみたらはまってしまったということらしい。それで納得。

 何となく力が抜けて、帰宅。奥さんは犬と山小屋に行っている。成城石井で晩のおかずを買い、もう本を読む気になれず借りてきたDVDを観る。10年も前の映画だが、イギリス映画の「リトルボイス」を観る。「ブラス」の監督と同じ監督ということだ。なかなか良かった。

 自閉的な少女が奇跡の歌声を持っていることが知られ、一儲けしようとする連中に舞台に出されてしまう。最初は歌わなかった少女は、客席に亡き父の姿を見つけ、突然別人格になってスターのように歌い出す。それはまるで憑依そのもので、すごかった。ジェーン・ホロックスという女優が少女を演じているのだが歌も自分の声で歌っているという。

 「リトルダンサー」も好い映画だったが、この映画と似た作品である。「フル・モンティ」や「カレンダーガールズ」など、イギリス映画にはこういう佳作が多い。

   冬めく日ことばの力にたじろぎぬ