うらやましい短大2008/02/13 23:43

 わが学科の一般試験の倍率が出た。昨年は1.8倍だったが、今年は何と2.6倍である。実は、一般入試の受験者は減っているのだが、推薦で昨年よりも多くとっているために、一般入試の倍率が高くなった。つまり、わが学科に、受験者の多くは一般入試ではなく、推薦で受験する傾向になってきたということである。

 それでも一般入試に受験するのは、他の大学や短大との併願ということである。第一志望であってくれればよいが、4大との併願だと滑り止めになっている可能性はある。

 これだけ倍率があがると来年の受験がどうなるか逆に不安になる。倍率が高いと敬遠されるのか、それとも、受けてみたいと思う受験者が増えるのか。増えることはないだろうなあとは思うが。全国のほとんどの短大が全入か定員割れの今、贅沢な悩みといったところだが、それだけちょっとでも手を抜いたらすぐに定員割れの可能性があるということでもある。責任者として頭が痛い。

 推薦で合格した入学予定者に実施した学力テストの結果が送られてきた。予想よりはまあまあの出来だが、中にはこんなに出来ない奴もいるのか、と不安にさせられる学生もいる。推薦は学力考査を行わないので何割かはわれわれの予想を下回る学力の学生が入ってくる。そのために、入学前に学力テストを行った、ということだ。

 英語と現代文のワークブックを、平均点をかなり下回る入学予定者にさっそく送る準備をした。入学前に毎日ワークブックをやるようにと送るのである。テスト形式なので、得点の記録をつけてもらってその記録を提出してもらうようにしている。

 平均点を上回る入学予定者には、読書案内を送り読書レポートを書くように指示する。こういうことを2月から3月までやらなくてはならない。休んでいる暇はないのである。

 「日本文学」の2月号に、長野県立短大の話が載っていて、読んでいて羨ましかった。教員一人に10人の学生数で、日本文学は古代から近代まであり、しかも中国文学まであってみんな必修になっているという。しかも卒論50枚書くというのだ。学生の自治組織があって、行事は学生が中心になってやり、ゼミも活発だという。2年で卒業させるのがもったいないと書いてあったが、それはそうだ。絶対赤字だと思うけどでも羨ましい。

 前に学会で行ったことがあり、教員にも知りあいがいる。さすが公立短大である。うちも真似したいが、難しいだろうなあ。そういえば、山梨県の大月短大のことが朝日新聞に出ていたが、こっちは国公立大への編入に目的を絞って教育し成功しているという。一方、石川県の短大では高校なみの担任制で、教員は毎朝登校して学生におはようと言うらしい。これも成功例だが、この例は真似したくない。

 短大は個性を発揮しないと生き残れない、ということだ。うちにも個性的な教員はたくさんいるが、ほとんどが短大の個性にはなって欲しくない個性である。教育機関としての個性を出すのはなかなか難しい。

          教師らは佇む薄氷を踏んで

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