ケータイ小説を語る2007/11/15 23:51

今日は朝一限目から5限目までめまぐるしい一日であった。昨日泊まるつもりであったが、いつもの宿が予約で泊まれず、仕方なく、今朝奥さんに川越市駅まで車で送ってもらい、有楽町線の始発の電車に乗った。そうしないと朝のラッシュアワーの中を一時間立ちっぱなしになる。一時間はさすがにきつい。

朝は読書室の委員たちとケータイ小説についての座談会であった。私が学生に意見を聞くというやり方で進んだ。みんなの意見は、面白くない、抵抗感がある、一時的ではないか、薄っぺらい、とか結構否定的な意見が多かった。意外であった。世間では女子高生の間で圧倒的に読まれている、ということを聞いていたので、我が文科の学生たちは、けっこうまともじゃんと思った。

が、これじゃ、座談会が盛り上がらない。何かいいとこないかと聞いていくのだが、あまり芳しい答えは返ってこない。私は「恋空」の印象を話し、ほとんど会話で、しかも、こういう100%恋愛しかない会話の世界って、けっこう切実感がないか、と言うが、みんなはあまり同意しない。やっぱり、みんなそれなりにいろんな体験をしいろんな事を考えてるんだなあ、ということか。ノンフィクションのような語り口で、あり得ないような恋愛のお話を一方的にされても、感情移入なんてとてもできないということらしい。

それにしても、それなら何でケータイ小説がこんなに売れてるんだろう。世間にはまともな奴が少ないのか。たぶん、読書委員の「読む」というハードルと、ケータイ小説をよく読む層の「読む」ハードルの高さが違うのだろうと思う。とても低いのだ。この低さは、文学を読むというレベルではなくて、テレビドラマを見るような読むに近いのではないか。映像化できさえすれば文体なんて必要ないといった、感じで会話が続くのである。

その意味では、見終わればすぐに忘れてしまうということなのか。ケーキを食べながらの座談会であったが、なかなか面白かった。

前学長のN先生から電話がある。いよいよ住まいを引き払ってフランスに移ってしまうらしい。セルビアの大学に日本語学科を作るんで本が必要だと言っていた。もう七十代半ばだろうに、まだまだ元気な人である。

夕方は課外講座で万葉集の講義。額田王を説明。終わってから、非常勤の先生と来年のことなどを打ち合わせて、結局学校を出たのが八時である。

                  凩も背中を押すや帰り人

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