留学生2007/09/19 00:42

 今日は朝から会議で出校。さすがに疲れた。昼に近くのJTBで22日に行く奈良への切符を買いに行く。これで三度目になるが、年六回行くことになっている。橿原神宮へ年六回も行くというのに、まだ周囲を散策していない。万葉を専門としているのに、もったいないと言えばもったいない。どいうわけかいつもとんぼ返りで、ほんとにただの出張になっている。

 今度も連休ではあるが、月曜は授業があるので日曜には帰らなくてはいけない。月曜日は、休日が多いので授業回数を確保するために、休日にならないときがあるのである。数年前は、月曜日に授業を入れると休日が多くて授業が少ないので、月曜に授業をする教員が多かったが、最近は、前期後期ともきっちり15回授業時間を確保する。むしろ、月曜は休日でも休めないので不人気になりつつあるのである。

 今日会議で補講の話が出た。教員は休んだら補講をしなければならない。補講は土曜日に行うが、学生が土曜にアルバイトで出られなかった場合、その学生の出席日数をどうするのか、アウトなのかという質問があった。土曜にバイトを入れている学生は多いから教員の都合で補講をやってそれに出られない学生を欠席扱いするのは不公平にならないか、というのである。うーんと皆は考え込み答えは出なかった。

 教務課長が、厚労省では、学生が休んだ場合、15回の授業を学生に保証するべきだと言いだしている。どうもそういう時代になってきた、という話をした。厚労省は看護学科や、管理栄養学科、児童学科などの資格系の学部学科を管轄していて、文科省より、授業回数については厳しい。つまり、学生が勝手に欠席しても、教育の質を確保するためにその欠席した学生のために補講をしろというのである。そこまでやらなきゃいかんのかとこれにはさすがに驚いた。ある大学では、ネット上で予習復習できるよう授業資料を公開して、そういう学生の補講にあてているという話である。

 夕方まで会議が連続し、5時半に、寧波大学から宇都宮大学に交換留学していたCさんが尋ねてきた。今日の夕方会おうと約束していたのである。彼女は、宇都宮大学の文学系の学部で2年間在籍して、卒業後、どういうわけか、東大の経済の大学院を受けたのである。最初誰も受かるとは思わなかった。本人も思わなかったらしい。試験には数学がある。ところがである、受かってしまったのである。むろん、相当勉強したらしい。

 寧波大学は、雲南調査でいつも世話になっている張さんが勤めている大学で、3年前に訪れて学生の前で講演をしたことがある。その張先生の教え子で、それで宇都宮でCさんたち寧波大学の留学生と一度食事をしたのが縁である。

 池袋に出て、奥さんと待ち合わせをし、東武のメトロポリタンプラザ8階のイタリア料理屋に入った。食べきれぬ料理を前にして、寧波の葬式の泣き女のこととか、神懸かる占い師のこととか、いろいろ聞いた。寧波にもけっこう面白い民俗が残っているようだ。

 彼女の希望は、修士を出たら日本の企業に入って経済を実地勉強し、上海に戻り起業したいとか。実は、多くの中国の留学生は同じ夢を抱いている。中国では就職するより、自分で起業する方が、リスクはあるが収入は多いし、政府も起業に対してかなりの優遇策をとっているということだ。

 目の前でこんな風に必死に勉強して夢を語る学生を見ると誰だって応援したくなるだろう。残念ながら、こういう中国の若者は今の日本の学生にはいない。寂しいが、中国の勢いというものを感じた晩であった。

        秋の夜や異国の人の夢を聞く