飽きない国2007/09/09 00:10


 昨日今日と校務で出校。会議やらAO入試の面接やらといろいろ仕事はある。仕事をしていると中国へ行ってきたのがはるか昔のことのように思われる。

 9月2日、昆明の雲南民族博物館へ行ったのだが、月曜と言うことで休館。ただ、目的はそこの書店だったので、交渉したら、係の者がいるというので入れてもらった。ここの本屋は、少数民族文化関係の本は昆明で一番充実していて、雲南に来ると必ず寄る。そして、持って帰れないほど買う。この本屋のいいところは、送料を渡すと日本に送ってくれるところで、それでつい多めに買ってしまうのだ。

 今回もかなりの本を買って、送る手続きをして、さあどうしようかということになった。月曜なので他の博物館も閉まっている。そこで隣の民族村に行こうということになった。実は10年以上通っているのに、いまだここの民族村を見ていない。理由は、観光用に作ったテーマパークみたいなものでつまらないと聞いていたからだ。でも、入ってこの目で見てみなければどのようにつまらないかはわからない。ということで入ることにした。

 確かに、テーマパークで、観光用の民族村である。ただ、建物とかは移築したものらしくそれなりに本物だ。が、中に入るとほとんどお土産物売り場になっている。どの村に行っても、民族音楽というよりは、今流行している若者向けのポップスが大音量で流れていて、雰囲気を見事に壊している。

 ただ、白族村の展示はなかなかよかった。婚姻儀礼のプロセスが人形で展示されていて、これはとてもよくわかった。こういうのは面白い。それから、怒江流域では橋がないので人々は橋の代わりに張り巡らしたワイヤーに滑車をつけてすべるように対岸に渡るが、それを人工的に作った池の上で再現しているのには驚いた。むろん、観光客に有料でやっている。

 タイ族の村では本物の像がいて観光客を乗せては写真を撮って料金をもらう。日本の多くのテーマパークが潰れていったが、この民族村もこのままじゃ潰れるなあというのが感想である。細かなところに目が行き届いていないし、民族の文化を真剣に紹介しようという気もないし、観光客を楽しませようというのもなさそうで、どうやったら金を落とさせるかという作り方になっている。かつての日本のテーマパークが見事に再現されていた。

 入り口に巨大なガジュマルの樹があった。同行のYさんは感動してすごいと叫んだ。その生い茂ったガジュマルの中に入って巨木を見ると、樹はコンクリートで出来ていた。コンクリートの樹に蔓をからませて巨木に見せていたのだ。なんだこれはとYさんはさすがに絶句。まあこれで驚いてはいけない。むしろ、こういう知恵の働かせ方に感心したほうがいいのかも知れない。

 中国はいろんな意味で飽きない国である。

      思い出し笑い抑え秋草踏む