卒業式2007/03/16 00:57

15日
 今日は卒業式だ。天気は曇りだったが、本当のハレの一日であった。共立講堂での卒業式(学位授与式)は、短い式だが、こういう儀式はあってもいいといつも思う。壇上で学生の顔を見、なんとなく肩の荷が下りた気がするのは、それなりに教員らしくなってきたということか。

 今年は卒業生の謝辞で、総代として壇上で読み上げた学生が感極まって涙ぐんだ。こういう謝辞は初めてだ。たんなる形式的な儀礼だが、それでも涙ぐむ感性がまだ残されていることにちょっと感動した。ただ、後ろの会場の卒業生たちは、ええっ、何で泣いてんのー、てな調子でけっこうざわざわとしていたが。

 卒業証書を渡し、校舎の前でみんなで卒業写真を撮る。いつもの光景だ。合間合間に学生達と並んで写真を撮る。鬱病で卒業の危ぶまれた学生が、何とか卒業できて、とってもうれしそうにしていた。鬱病も治ったようだ。よかったよかった。一人ひとりいろいろある。4月になると、そういういろいろを忘れてしまう。そして、また新入生を迎えて、一人一人のいろいろに悩まされる。そういうことの繰り返しに少しは楽しいと思うことができれば教師としてやっていける。私は今のところかろうじてだが大丈夫そうだ。

 夜は、私たちの専攻の送別会。銀座にある和食の店に行く。ライオンビルにある和食の店で、雰囲気はよかった。高そうだけど。ここのところ疲れが溜まっているせいか酒が飲めない。ちょっと飲んだだけでふらふらになる。あまり飲まずに帰る。有楽町駅まで行き有楽町線で帰る。座れたので川越までほとんど熟睡した。 

    教室の扉を閉めて卒業す

14日 
 相変わらず会議。でも、平成18年度の教授会は今日で終わり。明日は、卒業式。明後日は、卒業パーティ。20日からは中国。休みはない。とにかく、今、万葉の歌の「心物対応構造」の検討作業をやっていて、これで毎日遅くなり睡眠時間がとれない。中国はたぶん調査というより休養にしたい。むろん、行ってしまったらそういうわけにはいかないだろうが。

 今日学会の連中が発送作業で私の職場に来た。午前中は手伝ったが、昼からは会議の連続で手伝えなかった。昼にタイ料理屋で昼飯とビールを飲んだらしい。うらやましい。こっちはローソンで買った弁当を10分で食べて昼食。

 入試もすべて終わって、合格者も決定して、後は新入生がくるのを待つばかり。ほんとは一年のなかでいつものんびりした期間なのだが、さすがに管理職の仕事と、原稿が集中したのと、学会事務と、これだけ重なると、めまぐるしい。

 ここのところ、風が強く寒くなってきた。桜の開花予想を間違ったといって気象庁が訂正。北では雪が舞う。

 帰りの電車でニューズウィーク日本版を読む。世界ではアキバ系が流行していて、「萌え」が有名になっているという。外国では、オタクは自己表現として市民権を得ているが、日本ではどちらかというと差別されていると書いてある。差別されたり、どこか危ういところがないと、文化は生まれないということだ。何となく、人と眼を会わさないで、早口で、うつむき加減で、太り気味で、そういうオタクの、情けなさが妄想と紙一重の想像力になる。文化とは面白いものだ。

   ものの芽の頭押さえる風強し