ちゃんとしよう…2007/02/19 00:33

 今日はちょっとつらい話題。私の知りあいというか友人で末期癌にかかっているのが二人いるが、今日、その一人に見舞いに行った。

 彼は見るからに痩せてはいたが、いたって元気だった。ゆだんしてたら流行りの病にかかってしまった、と言っていた。何人かで見舞いにいったのだが、みんな、世の中にメッセージを残せとか、残日録を書けとか、これからの生の意味を考えろとか、言いたいことを言っていた。おいおい、そこまで言うか、という感じだったが、彼は笑いながら聞いていた。

 彼は私と同じ年だ。私だっていつそういうことになるかわからない。去年、やはり癌にかかっているもう一人を見舞ったが、彼は、こんなに早く神秘な世界を覗くことになるとは思わなかったと言っていた。

 彼等は今抗ガン剤を飲みながら癌とつきあっている。私が彼等の立場だったら何が言えるか、と考えると、彼等はすごいなあと感心する。ほんとに人間とはたいしたものだと思う。せまりくる宿命にこのように対処できるのだ。むろん、それが、他人への精一杯の態度としてもたいしたものである。

 帰ってきてから、もう少しきちんと仕事をしようと真面目に考えた。私は淡々と生きることをモットーとしているが、淡々といい仕事をしなければと思った。彼等のことを考えると、ただ無為に過ごすことが申し訳ないという気がするのだ。

 別に人はいい仕事をするために生きているわけではない。別に無為に生きていたっていいのだ。しょうがなくって生きているという生き方があってもいい。

 ただ、後何年とか何ヶ月とか言われたときに、無為に生きてもいいじゃないか、とはいかないところがやはり人間なのだ。そうとうの修行を積まないとそうは言えないだろう。

 私は修行を積んでいるわけではない。だから、ここは素直にもっとちゃんとしなければと思うことにする。といっても簡単にはちゃんとできないが、気持ちの問題としてちゃんとしよう。

    癌病棟紅梅の枝窓に見ゆ

    眼を瞑れば紅梅も白梅もあり