卒論を読み終える2007/02/03 01:49

 卒論を七本読み、コメントを主査の先生に送る。これで仕事が一つ終わった。古事記が一本、竹取物語が一本、源氏物語が4本、枕草子が一本である。

 文科では卒論は選択科目なので、誰もが書くというわけではない。が、今年度は多いほうだったのではないか。文科では、来年度の新入生から、実は、卒業時に必修として8000字レポート(原稿用紙20枚分)を書かせるようにした。それをマニフェストとして入学案内パンフレットに載せた。少子化で短大に入る学生が減っている時期に何故、そんなことをしたのかというと、そういう時代だからこそ、きちんとした課題を与えるべきだと考えたからである。

 20枚のレポートは簡単には書けない。が、書くことが出来れば、ある程度、資料の調べ方や、書く力や、考える力はあると言える。そのあると言えることが大事なのだ。学生を製品にたとえると製品の質の保証ということになる。そういえば、柳沢大臣はこういうたとえを使って墓穴を掘った。人間を機会や製品にたとえてはいけない。ましてや、女性を産む機械なんて、ちょっとひどい。だから、学生を製品にたとえるのは撤回します。言いたいことは、うちの学生は最低これだけのことは出来ますよ、と社会に送り出したいということである。それが学生の自信にもつながればいい。

 全入の時代、誰でも入れる時代だからこそ、卒業時のハードルが重要になる。日本の大学もその意味では欧米並になってきたということだ。ただ通過するための大学なんて今の時代どこにもない。ただ、学生に来てもらわないと経営の立ちゆかない大学が、卒業時のハードルを高くするのは、一部の有名大学以外なかなか難しい。

 文科に学生が来てくれるのか不安はある。何とか来てくれるだろうとは思っている。そのためにいろんな努力をしている。私は、研究以外にこういう努力もしなきゃいけない。ひょっとすると研究よりもこっちの方が才能があったりして。

 今日は久しぶりの寒波で寒い一日だった。夜は満月が冴えている。鹿や狸や狐たちは森の中で月見をしているだろうか。

    月冴ゆる森の孤独を照らしたり