和歌のゲーム理論2006/12/03 09:50


 昨日は梓で東京へ。学会の例会で神楽坂へ行く。茅野から新宿は回数券だと片道4千円である。ちなみに正規で買うと5千5百円(指定)する。昨日は往復したから8千円かかったことになる。山小屋に帰ってもすぐにまた川越に帰るのだから無駄なことをしているといえば言えるが、一日でもこっちにいた方が楽しいのでそうしている。まあこの先あんまり長くもなさそうなので(案外しぶとく生きるかもしれませんが)少しは快適に過ごしたい。

 最終の梓(新宿9時発)で茅野には11時23分着。奥さんが迎えに来ない。山は雪だそうでそれで遅れたとのこと。家に着くと雪が積もっていた。月明かりで星もよく見えて、しかも雪明かりで、真夜中であったが不思議なほどに明るかった。遠くに見える山の上の雲が光っているのは、スキー場の光で昨日がスキー場開きだという。いよいよ本格的に冬シーズンの到来である。

 昨日の例会は沖縄の大学にいるYさんの発表。彼とは久しぶりである。和歌のネットワークとでも言える発表で、古今以降の和歌の言葉がネットワークの中で変容し増殖していくということを論じていた。これは一種のゲーム理論としても考えられそうで、そこに興味がひかれた。

 複雑系という理論がある。個の因子が一定量を超えると相互に影響しあって全体の性格を決定づけてしまう。そして、その全体がさらに個の因子に影響しあってまた全体を左右していくという考え方である。遺伝子の理論や経済学の理論、天気の予測等最近は様々な分野に応用されている。ゲーム理論もこの複雑系の一つと言っていいが、この基礎になる理論を作り上げた一人が映画「ビューティフル・マインド」の主人公のモデル、数学者で統合失調症だったジョン・ナッシュである。彼は非均衡理論というゲーム理論でノーベル経済学賞をもらっている。

 つまり、ある言葉と言葉がネットワークの中で相互に影響しあいながら変容し増殖しあいさらにネットワークを構築していく、まさに言葉のゲーム理論である。和歌の言葉の発生を個の内面の問題でなく、このようなゲーム理論によって説明することも可能なのではないか。そう感じさせた発表であった。もっとも、本人はそういうことは何も考えていなかったが。

 今朝は昨日の朝に作った野鳥のえさ台に早速鳥が来ている。ひまわりの種を入れておくのだが、シジュウカラ、ヤマガラ、ゴジュウカラ、ウソ、シメ等の鳥がやってくる。時にはリスも来る。こういうのを見ているのが楽しい。

     雪明かり何やら覗く異界から

     霜月や和歌の言葉のおもしろさ

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